日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 エリスリトール
英文名 Erythritol

CAS 149-32-6  (link to ChemIDplus)

別名 エリスロール、Erythrol
収載公定書  薬添規(JPE2018) EP(5)
用途 矯味剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
甘味料としての1日許容摂取量(ADI)は、規定できない。


単回投与毒性  (link to ChemIDplus)

動物種

投与経路

LD50

文献

マウス ?
マウス ?

腹腔内
腹腔内

7000-9000 mg/kg
約8000-9000 mg/kg

Beck et al., 19361)
Beck et al., 19361)

ラット ?
ラット雄
ラット雌
ラット雄
ラット雌
ラット雄
ラット雌

経口
静脈内
静脈内
皮下
皮下
経口
経口

>18000mg/kg
6600 mg/kg
9600 mg/kg
>16000 mg/kg
>16000 mg/kg
13100 mg/kg
13500 mg/kg

Beck et al., 19361)
Yamamoto et al., 19871)
Yamamoto et al., 19871)
Yamamoto et al., 19871)
Yamamoto et al., 19871)
Yamamoto et al., 19871)
Yamamoto et al., 19871)

イヌ 雄

経口

>5000 mg/kg

Ozeki et al., 19881)



反復投与毒性 (linke to TOXLINE)
マウス
1群各10匹の雌雄CD-1マウスにエリスリトールの7.5、 15および30 g/kg/day相当量を13週間混飼投与した。15および30 g/kg/dayでは、雌雄とも摂水量、尿量、尿中蛋白排泄量およびマーカー酵素が増加し、30 g/kg/dayでは、雄で体重減少、雌で腎重量の増加、雌雄とも盲腸重量の増加がみられた。しかしながら、これらの変化は生理的な変動範囲内であり、毒性変化ではないと思われた。無影響量は7.5g/kg/dayであった。1)Til et al., 1992, 1996)

ラット
1群各6匹の雌Wistarラットにエリスリトールの5および10 g/kg/day相当量を28日間混餌投与した。5 g/kg/day以上で尿量の増加が、10 g/kg/day群では一過性の下痢、摂水量の増加、盲腸重量の増加および血清中のトリグリセロール量の減少が認められた。最小影響量は5 g/kg/dayであり、無毒性量は求められなかった。1) (Oku & Noda, 1990)

1群各10匹の雌雄Wistarラットにエリスリトールの、雄では5.4および11 g/kg/day相当量を、雌では5および9.9 g/kg/day相当量を28日間混餌投与した。低用量および高用量とも雄では、腎重量の増加、雌では盲腸および脾臓重量の増加がみられ、高用量では雄で盲腸重量の増加、雌で腎重量の増加が、また雌雄とも血漿アルカリフォスファターゼの上昇がみられた。最小影響量は5 g/kg/dayであり、無毒性量は求められなかった。1)Til & Wijnands, 1991; Til & Modderman, 1996)

1群各12匹の雌雄Wistarラットにエリスリトールの0、 1、 2、 4および8 g/kg/dayを13週間経口投与した。さらに0、 4および8 g/kg/day投与では、1群各6匹の雌雄ラットに4週間の回復期間を設定した。4 g/kg/day群では、雄では血漿中Naの減少、腎重量の増加および副腎の類洞拡張が、雌では血中尿素窒素の増加が、また雌雄とも下痢および/または軟便、尿中のNaおよびCl排泄量の増加がみられた。8 g/kg/day群では下痢とともに、自発運動の減少、摂水量の増加、血漿中のNaおよびCl濃度の減少、血中尿素窒素の増加、尿量、尿中のNa、 KおよびClの排泄量増加、腎および副腎重量の増加および尿細管の拡張がみられた。雄の腎重量増加を除いて、これらの所見には回復性が認められた。無影響量は2 g/kg/dayであった。1) (Yamamoto et al., 1989)

1群各15匹の雄Wistarラットにエリスリトールの0、 2.5、 5および10 g/kg/day相当量を13週間混餌投与した。10 g/kg/dayでは尿量、摂水量、尿中NAG、血清アルカリフォスファターゼおよび盲腸重量の増加がみられた。無影響量は5 g/kg/dayであった。1 ) (Til et al., 1991, 1996)

1群各22匹の雌雄Wistarラットにエリスリトールの0、 1、 1.73および3 g/kg/dayを180日間静脈内投与した。さらに、1 g/kg/day群を除いて各群6匹のラットに4週間の回復期間を設定した。1.73g/kg以上の用量で、雄では体重および血清Kの減少、雌では血中尿素窒素の増加が、また雌雄ともに摂水量、尿量、網赤血球、副腎および腎重量の増加がみられた。回復期間終了時には、雄の高用量で体重増加抑制がみられ、雌の中間および高用量で尿量増加が継続していた。無影響量は1 g/kg/dayであった。1) (Kamata et al., 1990a)

イヌ
1群各3匹の雌雄ビーグルにエリスリトールの 0、 1.25、 2.5および5 g/kg/dayを13週間経口投与した。さらに0、 2.5および5 g/kg/day では、1群各2匹の雌雄に4週間の回復期間を設定した。雌雄とも2.5および5 g/kg/day群において、嘔吐、下痢および/または軟便、摂水量の増加、胸腺の萎縮がみられた。また5 g/kg/dayでは、尿量増加、尿潜血および腎臓の病理組織学的変化がみられた。症状、生化学検査および尿パラメータは、4週間の回復期間で消失したが、胸腺の萎縮および腎臓の異常は回復しなかった。無影響量は、1.25 g/kg/dayであった。1) (Yamaguchi et al., 1990)

1群各4匹の雌雄ビーグルにエリスリトールの0、 1、 2.2および5 g/kg/dayを180日間静脈内投与した。さらに0、 2.2および5 g/kg/day投与では、1群各2匹の雌雄に4週間の回復期間を設定した。雄では1 g/kg/dayで摂水量の増加、雌で血中尿素窒素の増加および嘔吐がみられた。高用量群では、雄で尿中Cl増加およびK減少、前立腺間質の繊維化および腺房上皮の萎縮が、雌雄で嘔吐、摂水量および尿量の増加、膀胱出血による赤色尿、尿中Na増加がみられた。無影響量は求められなかった。1) (Kamata, 1990b)

1群各4匹の雌雄ビーグルにエリスリトールの0、 0.7、1.7および3.8 g/kg/day相当量を53週間混餌投与した。3.8 g/kg/day群で雌雄とも摂水量および尿量の増加がみられたことから、無影響量は1.7 g/kg/dayであった。1) (Dean & Jackson, 1992; Dean et al., 1996)


遺伝毒性 (link to CCRIS)

試験

試験系

濃度
μg/plate

結果

文献

復帰変異

ネズミチフス菌TA98、 TA100、 TA1535、 TA1337およびTA1538

370-30000 μg/plate

陰性

Blijleven, 19901)

復帰変異

ネズミチフス菌TA98、 TA100およびTA1337 大腸菌WP2uvrA

15.8-5000 μg/plate

陰性

Kawamura et al., 19961)

染色体異常

チャイニーズ・ハムスター由来CHL/IU

1.25-10 mmol/L

陰性

Nakatsuru et al., 19881)
Kawamura et al., 19961)




がん原性 (link to CCRIS)
長期毒性試験とがん原性
ラット
1群各20匹の雌雄Wistarラットにエリスリトールを雄で0、 0.46、 1.4および5 g/kg/day相当量、雌で0、 0.54、 1.7および7.5 g/kg/day相当量を78週間混餌投与した。高用量群で飲水量の増加、血漿アルカリフォスファターゼの上昇、尿量および尿中Ca排泄の増加が認められた。無影響量は1.4 g/kg/dayであった。1)Til & van Nesselrooij, 1994)

1群各50匹の雌雄Wistarラットにエリスリトールを雄で0、 0.86、 2.2および 4.6 g/kg/day相当量、雌で0、 1、 2.6および5.4 g/kg/day相当量を104週間混餌投与した。最高用量でもがん原性は認められなかった。中用量以上で、雄では尿量の増加、また雌雄ともに飲水量および盲腸重量の増加がみられた。高用量投与群では、雄で尿量および尿中Ca、酵素および電解質量の増加、雌で副腎重量の増加が、また雌雄で腎重量の増加がみられた。無影響量は0.86 g/kg/day であった。1)Lina et al., 1994, 1996)


生殖発生毒性 (link to DART)
受胎能および着床までの初期胚発生
1群24匹の雄CD-1(ICR)マウスにエリスリトールの0、 1、 2、 4 および8 g/kg/dayを6週齢から交配までの9週間および交配が確認(膣栓が認められた日)されるまで経口投与した。雌も同様に1群24匹で9週齢から交配までの15日間および妊娠6日目(膣栓が認められた日を交配日とした)まで投与した。4 g/kg/day以上では主として投与初期には下痢が、さらに飲水量の増加が認められた。雄の8 g/kg/day群で9週以降に低頻度の腎尿細管の拡張がみられた。なお、最高用量の8 g/kg/dayでも第一世代の雌雄に生殖発生毒性はみられなかった。1)Tateishi et al., 1989)

1群24匹の雄CD-1(ICR)マウスにエリスリトールの0、 1、 1.73および3 g/kg/dayを6週齢から交配までの9週間および交配が確認(膣栓が認められた日)されるまでの期間、静脈内投与した(投与部位は特定せず)。雌も同様に1群24匹で9週齢から交配までの15日間および妊娠6日目(膣栓が認められた日を交配日とした)まで投与した。3 g/kg/dayでは雌雄ともに低率の死亡、飲水量増加および尿細管拡張がみられた。なお、最高用量の3 g/kg/dayでも第一世代の雌雄に生殖発生毒性はみられなかった。1)Tateishi et al., 1992)

1群各24匹の雌雄Wistarラットにエリスリトールの0、2.5、5および10%を連続2世代混餌投与した。これは交配および妊娠期間では、雄で1.5、3.1および6.5 g/kg/day、雌で1.7、3.3および7.1 g/kg/dayに相当し、授乳期間では3.6、7.5および16 g/kg/dayに相当した。F0およびF1親動物は、10週間投与後、雄:雌=1:1で交配した。生殖毒性における無影響量は3.1 g/kg/dayであった。この用量では、F1出生仔で授乳期間以降に体重の減少が認められたが、F2出生仔には影響はなかった。1) (Smits-van Prooije et al., 1996a; Waalkens-Berendsen et al., 1996)

胚・胎児発生
1群42匹の雌CD-1 (ICR) マウスにエリスリトールの0、1、2および4 g/kg/dayを妊娠6日から15日まで静脈内投与した。その後、1群27匹の母動物は妊娠18日に屠殺し、残りの15匹は自然分娩させて21日目の離乳まで哺育させた。4 g/kg/dayでは母動物の一般症状および摂餌量に影響が見られ、胎仔でも口蓋裂、波状肋骨および胸骨分節癒合の出現率が増加した。しかし、出生仔の外形および骨格の発達ならびに生殖機能に影響はみられなかった。母動物および胎仔・出生仔の無影響量は2 g/kg/dayであった。1) (Ota et al., 1990)

1群32匹のWistarラットにエリスリトールの0、1.7、3.3および6.6 g/kg/day相当量を妊娠0日から21日まで混餌投与した。妊娠21日に母動物を屠殺し、胚・胎仔に関する検査を行った。6.6 g/kg/dayでは胚、胎仔への毒性および催奇形性を示さなかった。また、母動物では6.6 g/kg/dayで体重および体重増加量の減少がみられたことから、無影響量は3.3 g/kg/dayであった。1) (Smits-van Prooije et al., 1996b)

1群17匹のウサギにエリスリトールの0、1、2.2および5 g/kg/dayを妊娠6日から18日に耳介静脈から投与した。妊娠28日に母動物を屠殺し、胚および胎仔の検査を行った。母動物では5 g/kg/dayで持続的な摂餌量の減少が認められ、胎仔に体重減少および骨格変異の増加がみられた。無影響量は2.2 g/kg/dayであった。1) (Hashima Laboratory, 1989; Shimizu et al., 1996)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
腎毒性
1群12匹の雌Wistarラットにエリスリトールの8 g/kg/dayを4週間経口投与し、電解質添加水を自由に与え、反復投与による血中尿素窒素および電解質排泄への影響を検討した。エリスリトール単独投与は、水道水投与群に比べて、腎の相対重量を有意に増加させた。エリスリトールと電解質添加水の同時投与群の腎重量は、エリスリトール単独投与と比べて差はなかった。エリスリトールによる血中尿素窒素の増加は、電解質添加水投与により抑制されたことから、尿量の増加が低ナトリウム血症を起こし、恒常性機能により血中尿素窒素を上昇させたものと思われた。1) (Shibata et al., 1991)

1群6匹の雄腎摘出ラットにエリスリトールの0、1.1および2.7 g/kg/day相当量を、偽手術ラットには0、1.1および2.9 g/kg/day相当量を4週間混餌投与した。高用量投与群では、摂水量の増加が両群に、偽手術ラット群で赤血球および血小板の増加、ヘモグロビンおよびヘマトクリットの上昇が、腎摘出ラット群では血清アルブミン、アルブミン:グロブリン比の減少および血清α1グロブリンの増加がみられた。無影響量は1 g/kg/dayであった。1) (Kanai et al., 1992)


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
誤用


その他
6人の男性(26-46歳)にエリスリトールの30、40、50および60 gを単回経口投与した。下痢の無影響量は30 g(0.46 g/kg)であった。1) (Ueki., 1992)

12人の健康人(8人の男性および4人の女性)にエリスリトールの30、40および50 gを単回経口投与した。下痢の無影響量は30 g(0.47 g/kg)であった。1) (Takahashi, 1992a)

5人の健康男性(45-58歳、54-65 kg)に12時間の絶食後、エリスリトールの0.3 g/kgを投与した。1週間後、同様に12時間の絶食後、同量のエリスリトールを投与した。エリスリトールは、血清グルコースおよびインスリンに有意な影響を与えなかった。1)(Noda et al., 1994)

3人の健康男女(24-43歳)に一晩の絶食の後、エリスリトールの1 g/kgを単回投与した。1人の男性および3人の女性にエリスリトール摂取後、胃腸症状が、2人の女性に下痢が、その他の人々に腹部痙攣、不快感および放屁がみられた。血漿グルコースおよびインスリン濃度に影響はなかった。1)Bornet et al., 1996a)

各12人の健康男女(20-46歳)にエリスリトールの0.4および0.8 g/kgを単回投与した。血漿グルコース、インスリン濃度、浸透圧およびCa濃度に影響はなかった。高用量群で、尿中電解質排泄が有意に高く、低用量群でも増加傾向がみられた。NAGの尿中排泄には影響しなかった。1)Bornet et al., 1996b)

5人のインスリン非依存性糖尿病患者(平均年齢52.19歳)にエリスリトールの0.4および0.8 g/kgを単回経口投与した。毒性反応はみられなかった。1) (Ishikawa et al., 1996)

7人の男性にエリスリトールの25、50および75 gを、12人の女性に25、37.5および62.5 gを1または2日間の間隔で下痢がみられるまで投与し、下痢について無影響量および平均毒性量(ED50)を検討した。無影響量は男性で0.66 g/kg/day、女性で0.80 g/kg/day、下痢のED50は男性で1.1 g/kg/day、女性で1.6 g/kg/dayであった。1) (Oku & Okazaki, 1996a, b)

8人の健康男性(27-59歳で平均45歳、56-61kgで平均63 kg)および2人の健康女性(48および63歳、両者54 kg)にエリスリトールの20 gを1日2回(40 g/day)、5日間投与した。下痢はみられなかった。1) (Takahashi , 1992a)

6人の健康男性(30-53歳、平均体重74 kg)にエリスリトールを含むコーヒー1日当たり5缶を3日間連続投与した。総エリスリトール量は68 gで、平均摂取量は0.91 g/kg/dayであった。便密度および排便回数に変化はなく、腹部の症状もみられなかった。1)(Hamada , 1996)

8人の健康男性(30-53歳、平均体重70 kg)にエリスリトールを含む紅茶1日当たり5缶を3日間連続投与した。総エリスリトール量は60 gで、平均摂取量は0.86 g/kg/dayであった。便密度および排便回数に変化はなく、腹部の症状もみられなかった。1)Masuyama , 1996)

12人の健康男性(22-46歳、65-98 kg)にエリスリトールの1 g/kg/dayを5日間投与した。腹部の症状はみられなかった。1)Tetzloff et al., 1996)

3人の男性(平均年齢65.6歳)および8人の女性(平均年齢50.4歳)インスリン非依存性糖尿病患者にエリスリトールの20 g/dayを14日間投与した。血中グルコースおよび腎機能への影響はみられなかった。1) (Miyashita et al., 1993; Ishikawa et al., 1996)



引用文献
1) WHO Food Additive Series No.44 Erythritol. (accessed; November 2005)  (link to WHO DB
)

Abbreviation

ChemIDplus; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature
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