日本医薬品添加剤協会 |
和名 フェロシアン化カリウム 英文名 Potassium Ferrocyanide CAS 13943-58-3 (link to ChemIDplus) 別名 ヘキサシアノ鉄(U)酸カリウム三水和物、黄血塩 収載公定書 用途 安定(化)剤 ■JECFAの評価 (link to JECFA) ADI(1日許容摂取量); 0-0.025 mg/kg bw (フェロシアン化ナトリウムとして)(1974年、第18回) 1) 無影響量(NOEL); ラット 0.05%混餌(25mg/kgに相当)(フェロシアン化ナトリウム)1) 以下のデータには、フェロシアン化ナトリウムも含む。 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) ラット 1群雌雄各10匹のラットからなる4群に、13週間、フェロシアン化ナトリウムをそれぞれ0、0.05、0.5及び5.0%を混餌投与した。体重増加率、摂餌量は5.0%投与群を除き正常であったが、5.0%投与群では僅かな減少が観察された。また、5.0%投与群おいては、ヘマトクリット値及びヘモグロビン値が低かった。5.0%投与群の雌雄及び0.5%投与群の雌ラットにおいては腎重量の増加が認められ、5.0%投与群の雄ラットでは副腎、雌ラットでは下垂体重量がそれぞれ増加しているのが観察された。0.5%投与群では腎臓に僅かな尿細管損傷が認められた。 5%群においては、この傾向は更に明瞭に認められ、併せて顆粒化及び石灰化も観察された。1) (Oser, 1959) イヌ 1群雌雄各4匹のビーグル犬からなる4群に、フェロシアン化ナトリウムを0、10、100、1000 ppmを13週間混餌投与した。外観、行動、体重変化、体調、血液学的検査、生化学的検査、尿検査並びに病理組織学的検査結果は、全く異常が認められなかった。 フェロシアン化ナトリウムに起因すると思われる影響は認められない。1) (Morgaridge, 1981) ■遺伝毒性 (link to GENE-TOX)
■がん原性 Wister系ラットにフェロシアン化ナトリウムを0、0.005、0.05、0.5%の用量で、104〜107週間混餌投与した試験において、0.5%投与群の雌で僅かではあるが有意な体重減少が認められた。また、0.5%投与群の雌雄で、投与開始から9ヶ月間、摂水量の増加が観察された。尿検査においては本剤投与群において進行性のタンパク尿が認められたが、対照群においても同様の変化が観察された。病理組織学的検査においては、0.5%投与群で子宮内ポリープ、精巣の繊維素形成及び皮質肥大が対照群に比較し高頻度に認められた。その他、生存率、血液学的検査及び臓器重量等においては、本剤投与に起因する変化は観察されなかった。発がん性は認められなかった。 ■生殖発生毒性 (link to DART) 妊娠ラットに、フェロシアン化カリウムエアロゾルを0.036、0.14、0.63 mg/m3の用量で妊娠期間中継続的に吸入投与した試験において、0.63 mg/m3投与群の母体で体重増加抑制(27.5%)が観察され、明らかな病理組織学的変化が、脳、子宮及び胎盤で認められた。 0.14 mg/m3投与群の母体では、これらの影響は高投与群に比べ軽度であった。 胎児においては、体重減少、体長(頭殿長)の短縮が観察された。 0.036 mg/m3投与群では、フェロシアン化カリウム投与に起因する変化は認められなかった。 ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 該当文献なし ■ヒトにおける知見 ヒトにフェロシアン化ナトリウムを0.55-6.2gの用量で静脈内投与したところ、フェロシアン化物は尿素同様に、約40%の再吸収率で排泄された。過剰のフェロシアン化物を投与された被検者では、多数の顆粒円柱、白血球、上皮細胞、まれではあるが赤血球を伴った重度のアルブミン尿が見られたが、これらの変化は2週間以内に消失した。9日から14ヶ月齢の乳児に、0.1%フェロシアン化ナトリウムを静脈内投与した試験では、フェロシアン化ナトリウムは乳児の尿細管で再吸収されることが示唆された。フェロシアン化ナトリウム投与による乳児の腎臓への影響は認められなかった。1) (Calcagno et al., 1955) 健常人45名、糸球体腎炎、高血圧、アミロイド症患者70名を含む115名を対象に5%フェロシアン化ナトリウム溶液10 mlを投与した結果、成人においては毒性所見は認められず、乳児では0.0077 g/kg が許容された。投与量の25%が80分以内に排泄され、残りはその後90分以内に糸球体ろ過され排泄された。 患者は健常人に比較し、排泄速度の遅延が認められた。1) (Forero & Koch, 1942) F59-ラベルフェロシアン化物を、肝臓及び腎臓障害を持つ患者を含む9名の被験者に、30-50 mg の用量で静脈内投与した。 健常人では投与量の約80%(68-87%)の放射能が24〜48時間に回収された。 採取された糞、唾液、胃液に有意な放射能は検出されなかった。 健常人における半減期(T 1/2)は135分であり、腎障害患者では消失速度が遅延した。血漿アルブミンとフェロシアン化物の結合がin vivoで認められた。1) (Kleeman & Epstein, 1956) ■引用文献 1) WHO Food Additive Series 6 (Calcium, Potassium and Sodium Ferrocyanide)(1974) (link to WHO DB) 2) 薬事食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会報告(薬食審第0725001号、平成14年7月25日) JAFAN 22(3)、122-131 |メニューへ| |
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