日本医薬品添加剤協会 |
和名 フマル酸 英文名 Fumaric Acid CAS 110-17-8 (link to ChemIDplus) 別名 Trans-butenedioic acid, Trans-1.2-ethylenedicarboxylic acid 収載公定書 薬添規(JPE2018),食添(JSFA-IX),外原規(2006) USP/NF(27/22) EP(4) 用途 安定(化)剤,滑沢剤,矯味剤,結合剤 ■JECFAの評価 (link to JECFA) 評価に際し、イヌを用いた2年間試験、ラットを用いた試験の1.2,1.38%含有食(600,690mg/kg相当)及びヒトの報告の500mg (10mg/kg)における毒性発現を考慮する必要がある。1日の許容摂取量(ADI)は0-6mg/kg、暫定的な許容上限摂取量は6-10mg/kgと推定される。 以下のデータには、フマル酸ナトリウム及びフマル酸二ナトリウムを含む。 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) ラット 1群14匹の離乳ラットに0,0.1又は1.0% のフマル酸含有食及び1.38%フマル酸ナトリウム含有食を1又は2年間与えた。体重、ヘモグロビン、血液像に異常は認められなかった。組織レベルでの骨カルシウムバランスならびに肝臓、腎臓、脾臓及び胃の組織学的検査においても異常は見られなかった。1) (Levey et al., 1946) ウサギ 1群5匹のウサギに50-500mg/kgのフマル酸ナトリウムを10-32日間、2-3日毎に静脈内投与した。血中非タンパク性窒素、クレアチニンに異常は認められなかった。フェノールスルホンフタレイン排泄試験、腎臓及び肝臓の組織学的検査にも異常は見られなかった。1) (Bodansky et al., 1942) 14匹のウサギに体重1kg当たり320-2080mgのフマル酸二ナトリウムを含有する食餌を28日間与えた。別の6匹のウサギに体重1kg当たり2880-3680mg含有する食餌を14日間与えた。前者の試験では死亡例は認められなかったが、後者の試験では3例死亡した。2匹のウサギに体重1kg当たり640 mg含有する食餌を36日間与えた。体重、血液、血中非タンパク性窒素、クレアチニン及び組織学的検査に異常は認められなかった。1) (Locke et al., 1942) 6匹のウサギに60mg/kgのフマル酸ナトリウムを17-29週間、週2回腹腔内投与した。ヒアルロニダーゼ濃度の低下を伴う甲状腺の腫脹及びうっ血、精巣萎縮が認められた。1) (Arai & Suchiro, 1953) 9匹の雄ウサギにフマル酸ナトリウム60mg/kgを150日間、隔日に腹腔内投与した。血清中のエストロゲン及び性腺刺激ホルモンの活性上昇が認められた。組織学的検査では全例に進行性の精巣萎縮、下垂体嫌色素性細胞の増加が見られた。1) (Arai et al., 1955) 1群15匹のウサギに0又は6.9%フマル酸ナトリウム(5%フマル酸相当)含有食を15日間与えた。体重、摂餌量、死亡率、血液、血糖、血中非タンパク性窒素、尿、臓器重量及び精巣を含む臓器の組織学的検査に異常は認められなかった。1)(Packman et al., 1963) イヌ 1群6匹の若齢イヌに0, 1, 3又は5%のフマル酸ナトリウム含有食を2年間与えた。体重、発育、血液、血糖、血液尿素、臓器重量、肉眼的検査及び主要臓器組織の組織学的検査に異常は認められなかった。1) (Harrisson & Abbott, 1962) ■遺伝毒性 (link to CCRIS) ■がん原性 (link to CCRIS) 1群雌雄各12匹のラットにフマル酸0, 0.1, 0.5, 0.8 又は1.2%含有食を2年間与えた。体重、摂餌量に異常は認められなかった。別試験として、12匹の雄ラットに0, 0.5, 1.0又は1.5%含有食を2年間与えた。最高容量群に死亡率の僅かな上昇及び軽度の精巣萎縮が認められた以外には、臓器重量、主要臓器の肉眼的及び組織学的所見ならびに腫瘍発現率に有意な群間差は認められなかった。1) (Fitzhugh & Nelson, 1947) ■生殖発生毒性 (link to DART) 1群8匹のモルモットに0, 1又は10%のフマル酸含有食を与える次世代試験を実施した。1年間投与した親世代動物の体重には異常は認められなかった。4匹の交配動物から得た第2世代出産仔に親世代動物と同様濃度のフマル酸含有食を与えた。妊娠率、保育率、出産仔の体重に異常は認められなかった。1) (Levey et al., 1946) ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 該当文献なし ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) 29-91歳の成人75人にフマル酸500mgを1年間投与した。ヘモグロビン、赤血球、白血球、血中非タンパク性窒素、クレアチニンに異常は認められなかった。ブロモスルホンフタレイン及びフェノールスルホンフタレインの排泄試験にも異常は認められなかった。1) (Levey et al., 1946) フマル酸は乾癬治療薬として使用されているが、消化管、皮膚及び血液に対する副作用以外に一過性の腎障害を示すことがある。フマル酸(420mg、1日2回)を乾癬治療の目的で5年間投与されている38歳の女性患者が倦怠・疲労感を訴えた。臨床検査で重篤な近位尿細管障害が確認された。直ちに服用を中止したが、低リン血症、糖尿及び蛋白尿の持続が認められた。2) (Raschka et al. 1999) ■引用文献 1) WHO Food Additive No.40A,B,C Fumaric acid. 1989 (accessed ; Aug. 2004 ) 2) Raschka C, Koch HJ Longterm treatment of psoriasis using fumaric acid preparations can be associated with severe proximal tubular damage. Hum Exp Toxicol. 1999; 18:738-9 (link to WHO DB) |メニューへ| |
Japan Pharmaceutical Excipients Council |