日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 パラフィン
英文名 Paraffin

CAS 8002-74-2 (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 パラフィンワックス、Hard Paraffin
収載公定書  局方(JP17)  外原規(2006)  USP/NF(29/24)  EP(5.3)(Paraffin,hard) 
用途 基剤,結合剤,光沢化剤,コーティング剤,糖衣剤,乳化剤,賦形剤,防湿剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
ADI(1日当たりの許容摂取量): withdrawn(廃棄)


単回投与毒性
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 経口 >5 g/kg CTFA, 1975 1)
イヌ 経口 >1.25 g/kg Biodynamics, 1975 1)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
 

遺伝毒性
該当文献なし


がん原性
マウスに粉砕したパラフィンワックス,ステアリン酸を15-17 mg,10 mgを膀胱内に移植し,40週間観察した結果,両被験物質ともに癌腫の発現頻度は低く,パラフィンワックスでは82例(1.2%),ステアリン酸では62例(1.8%)であった。パラフィンワックスでは,試験期間中in situで残存したが,ステアリン酸は2-3週後にはみられない例が多かった。2) (Bonser et al., 1963)

マウス1群雌雄各50例にパラフィンワックス2群を設け,膀胱内に移植して37週間観察した。パラフィンワックス1群にはウレタンを強制経口投与した。その結果,いずれの群も剖検では腎臓,尿管に腫瘤は認められなかったが,膀胱上皮の過形成,良性・悪性癌腫がみられた。尿結石の増加も認められた。ウレタンを投与した群ではパラフィンワックスで認められた変化を増悪することはなかった。3) (Ball et al., 1964)

B6AF1/Jマウスの膀胱内に外科的にパラフィンワックスを移植して観察し,100-110,70-80,40-50週目に屠殺した。膀胱の癌腫の悪性度,頻度は移植後の気管に応じて増加すると考えられた。同時に実施した1-phenylazo-2-naphtholを含むペレットを移植した群ではパラフェインワックス群の頻度と比較して,膀胱の癌腫の頻度はいずれの屠殺時期でも有意に増加していた。N-2-fluorenylacetamide,その代謝物を含むペレットを移植した群では,経口及び非経口投与経路で認められた癌腫,腫瘍の頻度と非常に類似していた。4) (Jull, 1979)

Fisher 344系ラットの膀胱内を2分割してパラフィンペレットをそれぞれの部位に移植した。上部の膀胱は尿路から隔離したものと,そうでないものを設けた。下部の膀胱は常に尿と接する状態にした。上部の尿路から隔離した99例では腫瘍は認められなかったが,尿との接触のある上部119例では,49例の腫瘍がみられた。尿の有無による影響を比較した今回の手技による成績から,尿はこれら腫瘍の生成に何らかの未知の役割があるかもしれないことを示唆した。5) (Chapman et al., 1973)


生殖発生毒性 (link to DART)



局所刺激性
ウサギ9例に100%パラフィンワックス0.5 mLを皮膚に単回閉塞パッチを行った結果,刺激性は認められなかった。1) (CTFA, 1980)

ウサギ6例にパラフィンをワセリンで50%濃度に溶解して0.5 mLを皮膚に24時間閉塞パッチを行った結果,4例で投与3日目に紅斑がみられた。1) (CTFA, 1972)

ウサギ6例にパラフィンをワセリンで50%濃度に溶解して0.5 mLを皮膚に24時間閉塞パッチを行った結果,1例で投与3日目に紅斑がみられた。1) (CTFA, 1972)

ウサギ6例に50%濃度のパラフィンをワセリンで溶解して片眼に0.1 mLを点眼し,洗眼は行わなかった。点眼後3日間,検眼した。点眼1日目に1例で軽度な(Mild)刺激性が認められた。1) (CTFA, 1972)

ウサギ6例に50%濃度のパラフィンをワセリンで溶解して片眼に0.1 mLを点眼し,洗眼は行わなかった。点眼後,刺激性は認められなかった。1) (CTFA, 1972, 1980)


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見
流動パラフィンと固形パラフィンの混合物を整形のため胸部に注入した結果,異物性の肉芽腫,石灰化が認められた。1) (Getmanets, 1966)

被検者20例に100%パラフィンを皮膚に24時間閉塞パッチを行った結果,1例でかすかに認知できる紅斑がみられた。1) (CTFA, 1972)

被検者20例に100%パラフィンを皮膚に24時間閉塞パッチを行った結果,1例でピンクの均一な紅斑が認められた。1) (CTFA, 1972)

被検者39例,30例,25例の3群に5%パラフィン製剤を接触感作させた。被験物質は被検者全ての右手のひらの同じ場所に閉塞パッチを48時間,5回貼付した。パッチ貼付部位は事前に2.5%ラウリル硫酸ナトリウム水性液を24時間閉塞状態で処理した。誘発パッチは14日後に行った。その部位は24時間のパッチを除去して評価した結果,刺激性はみられず,感作性もなかった。1) (CTFA, 1975)

被検者10例に5%パラフィン含有製剤の21日間累積刺激性試験を実施した。製剤を含むパッチを各被検者の背部の同じ部位に4日間連日貼付した。パッチは皮膚に23時間接触させ,評点は次回のパッチを貼付する直前に行った。評点は最高630点中18点であり,非刺激物とみなされた。1) (HTRL, 1975)

女性187例に5%パラフィン含有製剤の使用試験を行い,皮膚刺激性を調べた。2週間の連日使用で刺激性は認められなかった。1) (A, 1975)


引用文献
1) Anonymous, Final report on the safety assessment of fossil and synthetic waxes, J. Am. Toll. Toxicol., 1984; 3: 43-99
2) Bonser GM, Boyland E, Busby ER, Clayson DB, Grover PL, Jull JW, A further study of bladder implantation in the mouse as a means of detecting carcinogenic activity: Use of crushed paraffin wax or stearic acid as the vehicle, British J. Cancer, 1963; 17: 127-136
3) Ball JK, Field WEH, Roe FJC, Path MC, Walters M, The carcinogenic and co-carcinogenic effects of paraffin wax pellets and glass beads in the mouse bladder. British J. Urology, 1064; 36: 225-237
4) Jull JW, The effect of time on the incidence of carcinomas obtained by the implantation of paraffin wax pellets into mouse bladder, Cancer Letters, 1979; 6: 21-25
5) Chapman WH, Kirchheim D, McRoberts JW, Effect of the urine and calculus formation on the incidence of bladder tumors in rats implanted with paraffin wax pellets, Cncer Research, 1973; 33: 1225-1229




   


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