日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 パルミチン酸セチル
英文名 Cetyl Palmitate

CAS 540-10-3 (link to ChemIDplus)
別名 Hexadecanoic acid hexadecyl ester、Palmitic acid hexadecyl ester、Hexadecyl  palmitate
収載公定書  薬添規(JPE2018) 外原規(2006)  USP/NF(28/23) EP(5)
用途 基剤


単回投与毒性
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
マウス 経口 >14.4 g/kg MB Res.Lab., 1974 1)
ラット 経口 >2.0 g/kg MB Res.Lab., 1974 1)



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
ラットにパルミチン酸セチルを20%濃度で飼料に混入して9日間与えた。その結果,糞便には被験物質の排泄がみられ,その試験期間中異常は認められなかった。1) (Hilditch, 1940)


以下については該当文献なし
遺伝毒性
がん原性
生殖発生毒性


局所刺激性
ウサギ10匹に、50%のパルミチン酸セチル蒸留水懸濁液を2.0 g/kg、 皮膚を剃毛して,健常皮膚5匹と損傷皮膚5匹にそれぞれ24時間閉塞パッチを行った。刺激性はDraize法に従い評価を行い,投与24時間目で評点1及び2の軽微な刺激性が認められた。1) (MB Res.Lab., 1974)

ウサギ6匹に5%パルミチン酸セチル鉱油懸濁液を健常皮膚と損傷皮膚それぞれに24時間閉塞パッチを行い皮膚一次刺激性を調べた。その結果,投与24時間目のPII (皮膚一次刺激性インデックス)は0.75で72時間目では0.0でした。1) (Biometric, 1977)

ウサギ50%パルミチン酸セチル蒸留水懸濁液を1.0mL,即ち,0.5gを貼付した結果,PIIは0.0でした。1) (MB Res.Lab., 1974)

ウサギにおける生理食塩液で湿潤させたパルミチン酸セチル0.5gの皮膚一次刺激性はPII0.17でした。1) (ARMAK, 1972)

ウサギにおけるパルミチン酸セチルを融解した100%液の皮膚一次刺激性はPII 0.4でした。1) (Consumer Product Testing, 1977)

ウサギ6匹にパルミチン酸セチル0.1gまたは0.1mLを片方の眼結膜嚢に点眼した後,洗眼することなく,Draize法に従い,点眼後24,48,72時間目を評価した。 他眼は比較対照とした。パルミチン酸セチルを鉱油で5%液に懸濁して点眼を行った場合には,いずれの時点でも評点は0.0でした。1) (Biometric, 1977)

パルミチン酸セチル100%原液を点眼した場合には,投与24時間目の評点は0.3で,それ以降は0.0でした。1) (Consumer Product Testing, 1977)

パルミチン酸セチルを白色粉末として点眼した場合には,投与24時間目の評点は2.3で,投与48時間目は0.7,投与72時間目で0.3でした。1) (MB Res.Lab., 1974)

パルミチン酸セチル原液を点眼した場合のOII (眼粘膜刺激性インデックス:Ocular Irritation Index)は投与24時間目で6.7,投与48時間目で2.2,投与72時間目で0.0であった。1) (ARMAK, 1972)


その他の毒性
白色モルモット10匹にパルミチン酸セチルを1%濃度に大豆油(Mazola corn oil)に懸濁して,週3回合計10回経皮投与した。経皮投与は初回は0.05 mLとして,それ以降は0.1 mLで感作した。誘発投与として0.05 mLを反対側の皮膚に10回の感作投与後2週目に実施した。その結果,皮膚刺激性は極めて軽微に(minimally irritating)みられたが,感作性は認められなかった。1) (MB Res .Lab., 1974)


ヒトにおける知見
被験者10名にパルミチン酸セチルを2.7%含有する保湿剤についてKlingman and Wooding法により10日間の皮膚一次刺激性試験を実施した。10日間約0.3mLの被験物質原液を1日1回同じ場所に閉塞パッチを行った。その結果,皮膚一次刺激性は 認められなかった。1) (CTFA,1977,1978)

被験者50名にパルミチン酸セチルを2.7%含有する保湿剤についてKlingmanのマキシミゼーション法で感作性を調べた。誘発の結果,多くの被験者で軽微な紅斑が認められ,処方として用いられたラウリル硫酸ナトリウムによるもとのみなされた。明らかな紅斑(評点1)は48時間目に6名で認められたが,72時間目には1名のみとなった。試験実施者によれば,これは接触感作性とは考えられず,マキシミゼーション試験における程度は弱い感作性(weak potential sensitizer)で通常の条件下では接触感作性のリスクの可能性はないと考えられると結論付けられた。1) (CTFA,1977,1978)

健常被験者10名にパルミチン酸セチルを2.7%含有する保湿剤について光毒性を検討した。被験物質原液を5 μL/cm2で閉塞パッチを24時間行い,6,24時間後に150ワットのXenonl灯にSchott WG345フィルターをつけてUV-A照射(25-30 mW/cm2)を行った。その結果,光毒性は認められなかった。このことから,被験物質は通常の条件下では光毒性のリスクの可能性はないとみなされた。1) (CTFA,1977,1978)

健常被験者25名にパルミチン酸セチルを2.7%含有する保湿剤について光接触アレルギー性を検討した。被験物質原液を5 μL/cm2で閉塞パッチを24時間行い,Xenonl灯でUV-A照射(25-30 mW/cm2)を行った。光照射は週2回,合計6回実施した。その結果,光接触アレルギー性は認められず,通常の条件下では光接触アレルギー性のリスクの可能性はないとみなされた。1) (CTFA,1977,1978)


引用文献
1)  Anonymous, Final report on the safety assessment of octyl palmitate, cetyl palmitate and isopropyl palmitate, J. A. coll. Toxicol., 1982; 1: 13-35

   


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