日本医薬品添加剤協会 |
和名 ビタチョコレート 英文名 Bitter Chocolate CAS 4553-89-3 (link to ChemIDplus), 12236-46-3 (link to ChemIDplus) 別名 収載公定書 薬添規(2003) 用途 粘稠剤 ■JECFAの評価:4553-89-3 (link to JECFA), 12236-46-3 (link to JECFA) ブラウンHT(ブラウンチョコレートHT)のマウスにおける無毒性量は混餌投与で0.1%(1000ppm)であり、これは150mg/kg bwに相当する。ヒトに対するADI(1日許容摂取量)は0-1.5mg/kg bwと推定される。3) (Twenty-eighth report of the Joint FAO/WHO Committee on Food Additives, 1984) ビタチョコレートとしての該当文献は見当たらず、以下ブラウンチョコレートFBとHTについて記載する。 ■単回投与毒性:4553-89-3 (link to ChemIDplus), 12236-46-3 (link to ChemIDplus) LD50(ブラウンチョコレートFB)
LD50(ブラウンチョコレートHT)
■反復投与毒性:4553-89-3 (link to TOXLINE), 12236-46-3 (link to TOXLINE) マウス マウスにブラウンチョコレートFB 1000 mg/kgを3週間強制経口投与したが,毒性を示唆する徴候は認められなかった。1) (Gaunt et al., 1967) ラット ラットにブラウンチョコレートFB 2000 mg/kgを強制経口投与したが,毒性を示唆する徴候は認められなかった。1) (Gaunt et al., 1967) 離乳したラットに0.1%ブラウンチョコレートFB液を28日間強制経口投与した。ラット1例あたり15 mgの投与となった。その結果,著変は認められなかった。1) (Goldblatt and Frodsham, 1952) ラット雌雄各16匹を4群に分け,0,0.3,1,3%ブラウンチョコレートF B(純度81.8%)を飼料に混入して90日間与えた。その結果,摂餌量,血液学的所見,肝臓及び腎臓機能,器官重量に異常は認められなかった。ただ,3%群では軽度な体重低下がみられたが,有意な体重増加抑制は示さなかった。病理組織学的所見では,3%群で肝臓のクッパー細胞に色素沈着がみられ,1%及び3%群では消化管,リンパ節,尿細管に色素沈着が認められた。1) (Gaunt et al., 1967) ラット1群雌雄12例に0.5,1.0,2.0%ブラウンチョコレートHT(最低純度85%)をそれぞれ飼料に混入して12週間与えた。その結果,いずれの動物の一般状態にも毒性徴候は認められなかった。摂餌量の減少に伴う体重増加抑制が1,2%群雄でみられた。血液学的検査を投与6,12週で,肝・腎機能検査を試験期間終了時に実施した結果,2%群雄で赤血球数及びヘマトクリットの減少が見られたが,有意な変化ではなく,対照群と比較して異常はないとみなされた。高用量2群雌雄では軽度な腎機能低下が認められた。2%群では,脳及び副腎の絶対・相対重量の増加が雄で,脾臓及び腎臓重量の増加が雌雄で,卵巣重量の増加がみられた。 剖検・組織学的所見では,褐色色素沈着が肝臓のクッパー細胞,腎臓の近位曲尿細管,リンパ節,小腸に認められた。この変化の程度は投与量に相関して増加したが,0.5%群では色素沈着は軽微となった。その他の所見は投与群と対照群で差は認められなかった。0.5%ブラウンチョコレートHT群は12週間の混餌投与により毒性はみられなかった。2) (Hall and Lee, 1966) ラットにブラウンチョコレートHTを0.0,0.02,0.06,0.20,0.60,1.0,2%濃度で飼料に混入して90日間与えた。その結果,生存率,一般状態は対照群と差がみられなかった。体重増加量は対照群と比較して有意な差は認められなかったが,総摂餌量の換算結果から,軽度な体重増加抑制が1%群雄,2%群雌雄に認められた。血液学的所見では2%群雄でヘモグロビン量,赤血球数,ヘマトクリットの軽度ながら,有意な減少がみられた。生化学的所見では,BUNの減少が0.06%,0.6%群を除く投与群で認められた。総タンパク量の増加が0.6%,1%群雄でみられた。心臓,腎臓,肝臓,脾臓,精巣の絶対重量は,いずれの投与群でも変化はみられなかった。いずれの投与群の病理所見にも異常は認められなかったが,高用量2群で色素沈着が消化管,リンパ節,腎曲尿細管にみられた。2) (Chambers et al., 1966) ブタ ブタ1群雌雄各3例にブラウンチョコレートF B(純度81.8%)を飼料に混入して0,25,250,1000 mg/kg/dayとなるよう16週間投与した。その結果,体重増加量,血液学的所見,尿所見,雄肺の絶対重量減少を除く器官重量には投与群と対照群で差は認められなかった。投与に関連した変化としては,リンパ節の色素沈着が高用量群,250 mg/kg群雌1例,25 mg/kg群雄2例(貪食細胞の軽微な変化)にみられた。高用量群では,さらに消化管の粘膜に色素沈着が認められた。1000 mg/kg群雄1例の腎臓では暗褐色を呈した。1) (Butterworth et al., 1975) Large White系ブタ1群雌雄各3例にブラウンチョコレートHTを飼料に混入して0,5,20,100 mg/kg/dayとなるよう13週間投与した。投与開始時10週齡であった。その結果,死亡率,体重増加,器官重量,尿所見は対照群と差が認められなかった。投与13週目の投与群3群雄のヘモグロビン量は対照群と比較して有意な減少がみられた。しかし,これらの所見は他の血液学的所見や病理所見とは相関しなかった。病理組織学的所見は投与群と対照群で差はみられなかった。2) (Hendy et al., 1975) ■遺伝毒性 該当文献なし ■がん原性 マウス CFW系マウス雌雄各50例にブラウンチョコレートFB(純度81.8%)を飼料に0,300,1000,3000,10000 ppm混入して80週間与えた。その結果,体重増加量,血液学的所見,器官重量には投与用量と相関した変化は認められなかった。ただ,300及び10000 ppm群雄の体重低下,腎臓の相対重量減少はみられた。腫瘍発現率の増加は認められなかった。病理組織学的所見では,10000 ppm群で肝臓のクッパー細胞,リンパ節及び脾臓の貪食細胞,小腸の上皮細胞に色素沈着が認められた。1) (Gaunt et al., 1973) TF1系マウス雌雄各48例にブラウンチョコレートHT(純度85%)を飼料に0,0.01,0.1,1%混入して80週間与えた。その結果,軽度な体重増加抑制,心重量の減少が0.5%群雄で認められた。同群雌77週目では,対照群と比較してヘマトクリット,総リンパ球数の減少がみられた。しかし,これらの所見の投与との関連は明らかではなかった。死亡率は対照群と投与群で有意な統計学的な差は認められなかった。消化管の褐色化が高用量群でみられ,ブラウンチョコレートHT投与によるものと考えられた。0.5%群雌では肝臓に白血球の浸潤の増加,嚢胞性卵巣がみられた。腫瘍発現率は,いずれの群も同様で,催腫瘍性はないものとみなされた。2) (Drake et al., 1975) ラット CFE系ラット雌雄各30例を5群にわけ,ブラウンチョコレートFB(純度81.8%)0,1000,3000,10000,30000ppmを飼料に混入して2年間与えた。その結果,投与に関連した変化は,死亡率,体重増加量,血液学的所見,血清化学的所見,器官重量(脾臓の相対重量増加を除く),腫瘍発現率には認められなかった。尿細管に色素沈着が3000 ppm以上の群でみられた。その他,色素沈着は肝臓のクッパー細胞,リンパ節,脾臓,消化管粘膜に30000 ppm群雌の少数例で認められた。1)(Gaunt and Brantom, 1972) Wistar系ラット雌雄各48例にブラウンチョコレートHT(純度85%)を飼料に0(対照),500,2000,10000 ppmを混入して2年間与えた。その結果,体重増加,摂餌量,飲水量,血液学的所見,腎機能,血清成分所見,器官重量に毒性徴候は認められなかった。死亡率の増加が高用量群雄でみられた。病理組織学的所見では毒性徴候は認められなかったが,乳腺に線維腺腫の増加が有意ではないものの投与用量に応じてみられた。投与群の腫瘍発現率は対照群と差が認められなかった。2) (Carpanini et al., 1975) ■生殖発生毒性:4553-89-3 (link to DART) 1群30匹のWistar系妊娠ラットに、ブラウンHT(ブラウンチョコレートHT)の0、250、500又は1000mg/kg/dayを妊娠0日から19日まで毎日経口投与し、妊娠20日目に頚椎脱臼により屠殺した。着床、同腹仔体重、胎仔体重、性比に投与による影響は見られなかった。胎仔切片及び骨格標本においても投与に関連した異常は認められなかった。結論としてブラウンHTは1000mg/kg/dayまで投与しても胎仔毒性又は催奇形性を示さなかった。3) ラットに、ブラウンHT(ブラウンチョコレートHT)の0、50、250又は500mg/kg/dayを3世代にわたって混餌投与した。催奇形性はF0、F1及びF2世代の1群12匹の雌(対照群は24匹)について実施した。大まかな剖検検査はF1、F2a、F2bの離乳時の仔ラットで、完全な剖検検査はF0、F1、F2a、F2bの離乳後の母獣で実施した。更に完全な剖検検査はF2a世代からの分娩32日後の雌雄各1匹、F2b世代からの分娩72日後の雌雄各1匹、F3世代からの分娩72日後の雌雄各3匹についても実施した。剖検の結果、幾匹かの投与ラットでは胃腸管の内膜及び特にリンパ節の褐色化が明らかであり、着色の程度は投与量や投与期間に関係があるように思われた。しかし、病理組織学的には変化は認められなかった。また、体重、摂餌量、摂水量及び一般状態にも異常は見られなかった。250mg/kgまでは剖検所見、臓器重量に変化は見られなかった。500mg/kg群では盲腸の肥大化が雌の成獣にしばしば認められ、腎重量は対照群に比し常に重かった。しかし、これらの臓器においても組織病理学的には異常はなかった。生殖能にも異常は見られなかった。催奇形性に関してもF0、F1、F2世代の妊娠ラットの着床数、胎仔の体重、外観に異常は認められなかった。胎仔の化骨化の程度に若干の差がF2世代から生まれた胎仔に見られたが、正常の範囲内の変動であった。胎仔の生後発育、分化等にも投与による影響は見られなかった。以上の結果から無影響量(no-effect-level)は、繁殖性に関しては500mg/kgであると思われるが、腎重量の変化を考慮すると無影響量(no-untoward-effect level)は250mg/kgである。3) (Brantom et al., 1981) 以下については該当文献なし ■局所刺激性 ■その他の毒性 ■ヒトにおける知見 ■引用文献 1) WHO Food Additive Series No.12 Chocolate Brown FB, 1977 (link to WHO DB) 2) WHO Food Additive Series No.12 Chocolate Brown HT, 1977 (link to WHO DB) 3) WHO Food Additive Series No.19 Brown HT, 1984 (link to WHO DB) |メニューへ| |
Japan Pharmaceutical Excipients Council |