日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ポリソルベート80
英文名 Polysorbate 80

CAS 9005-65-6 (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン (20E.O.),Tween 80

収載公定書  局方(JP17),USP/NF(27/22) EP(4)
用途 安定(化)剤,界面活性剤,可塑剤,滑沢剤,可溶(化)剤,基剤,結合剤,懸濁(化)剤,コーティング剤,湿潤剤,消泡剤,乳化剤,粘着剤,粘調剤,賦形剤,分散剤,崩壊剤,崩壊補助剤,溶剤,溶解剤,溶解補助剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
無毒性量: 50000 ppm (5% 含有飼料,2500 mg/kg相当量)
ADI: 0-25 mg/kg (polyoxyehtylene (20) sorbitan estersの総量として)


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
マウス 静脈内
経口
腹腔内
4500 mg/kg
25 mg/kg
7600 mg/kg
2)
3)
4)
ラット 静脈内
経口
腹腔内
1790 mg/kg (male: 2180; female: 1720)
38000 mg/kg
6804 mg/kg
1) Brandner, 1973
1)
5)



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
30匹のラットに2%ポリソルベート80含有飼料を3世代にわたり供与したところ,生殖能及び発育への影響はみられず,肝臓及び腎臓の組織学的変化も認められなかった。1) (Krantz, 1946) 15-30匹のラットに2%ポリソルベート80含有飼料を長期間供与した。対照群と比較して,成長曲線,死亡率,血液生化学,剖検及び病理組織学的検査(脳,脾臓,甲状腺,上皮小体,前立腺,下垂体,唾液腺,副腎,胆嚢,肝臓,腎臓,骨髄,心臓,肺,精巣,リンパ節,筋肉)に異常は認められなかった。1) (Eagle & Poling, 1956) 雄12匹,雌20匹のラットに5%, 10%及び20%ポリソルベート含有飼料を生存期間供与した。観察は3世代にわたり行った。この試験では,妊娠及び生殖能,血液及び尿検査,並びに病理組織学的検査を実施した。5%含有飼料群では異常はみられなかった。10%及び20%濃度では,特に雄において下痢が顕著に認められた。20%含有飼料群では出生後の生存率,授乳効率及び交配期間への影響がみられた。雄において成長速度及び飼料効率の軽度の低下が認められた。1) (Oser Oser, 1957a; Oser & Oser, 1956a, 1956b, 1957b) 1群雌雄各10匹のラットもしくはマウスに3100, 6200, 12500, 25000, 50000 ppm含有飼料を13週間供与した。死亡はみられなかった。ラット及びマウスともに体重への影響は認められなかった。ポリソルベート80投与による一般状態,臓器重量への影響はみられず,剖検及び病理組織学的検査において異常は認められなかった。2)


遺伝毒性 (link to CCRIS),  (link to GENE-TOX)
ポリソルベート80はネズミチフス菌株 (TA100, TA1535, TA1537, TA98) を用いた遺伝毒性試験において,代謝活性化系存在下及び非存在下の条件下において,遺伝毒性は認められなかった。6)


がん原性  (link to CCRIS),
1群雌雄各60匹のラット及びマウスに25000及び50000 ppmのポリソルベート80含有飼料を103週間供与した。雌雄ラット及び雄マウスの体重に対照群との差はみられなかった。雌マウスの体重は対照群と比較して11%の低値を示した。ポリソルベート80投与による一般状態の変化は認められなかった。雄ラットにおいて生存率の低下がみられた (0 ppm: 29/50; 25000 ppm: 18/50; 50000 ppm: 18/50)。雌ラット及び雌雄マウスでは差は認められなかった (雌ラット: 23/50, 25/50, 25/50; 雄マウス: 33/49, 34/50, 32/50; 雌マウス: 30/50, 28/50, 26/50)。 副腎髄質の褐色細胞腫の発現頻度のわずかな増加が雄ラットの高用量群で認められた (21/50, 19/50, 29/50)。副腎髄質の過形成が雄ラットの低用量群でみられたが,高用量群では認められなかった (11/50, 22/50, 12/50)。 投与に関連した腫瘍の発現頻度の増加は雌雄マウスでは認められなかった。前胃の扁平上皮過形成及び炎症が雄マウスの高用量群及び雌マウスで,前胃の潰瘍が雌マウスの高用量群で高頻度にみられた。6)


生殖発生毒性 (link to DART)
"妊娠SDラットにTween 80の0, 500, 5000 mg/kg/日を経口投与した。投与量は5 mL/kg,投与期間は妊娠6〜15日であった。妊娠20日に帝王切開を行い妊娠状況を確認し,吸収胚数,死亡胎児数及び生存胎児数を検査した。死亡もしくは生存胎児の体重を測定し,生存胎児について外表検査,内臓検査及び骨格検査を実施した。 母動物において肝臓の相対重量の増加がみられたためLOAELは500 mg/kg/日,胎児の発育に対する明らかな影響は認められず生殖に対するNOAELは5000 mg/kg/日以上であった。6)"


局所刺激性
眼一次刺激性 7)
動物種 投与量 結果
ウサギ 150 mg/eye 軽度の刺激性




その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
誤用
その他
4.5-6 gのポリソルベート80を100人(3〜4年が10人,2〜3年が17人,1〜2年が19人,1年未満が54人の成人)に供与した。有害な作用は認められなかった。1)(Krantz, 1951)


参考文献
内閣府 添加物 database(2007年)  (link to 評価書)
小児(STEP database;要Login)

1) WHO Food Additive Series No. 5, Sventeenth Report of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives, Wld Hlth Org. techn. Rep. Ser., 1974, No.539 FAO Nutrition Meetings Report Series, 1974, No. 53. (link to WHO DB)
2) Arzneimittel-Forschung. Drug Research. (Editio Cantor Verlag, Postfach 1255, W-7960 Aulendorf, Fed. Rep. Ger.) V.1- 1951-
3) Bollettino Chimico Farmaceutico. (Societa Editoriale Farmaceutica, Via Ausonio 12, 20123 Milan, Italy) V.33- 1894-
4) Pharmacology and Therapeutics. (Pergamon Press Ltd., Headington Hill Hall, Oxford OX3 0BW, UK) V.4- 1979-
5) Arzneimittel-Forschung. Drug Research. (Editio Cantor Verlag, Postfach 1255, W-7960 Aulendorf, Fed. Rep. Ger.) V.1- 1951-
6) Toxicology & Carcinogenesis Studies of Polysorbate 80 in F344/N Rats and B6C3F1 Mice (Feed Studies). Technical Report Series No. 415 (1992) NIH Publication No. 92-3146 U.S. Department of Health and Human Services, National Toxicology Program, National Institute of Environmental Health Sciences, Research Triangle Park, NC 27709
7) Archives of Ophthalmology (Chicago). (AMA, 535 N. Dearborn St., Chicago, IL 60610) New series: V.1-44(3), 1929-50; V.64- 1960-





   


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