日本医薬品添加剤協会 |
和名 ポリビニルアルコール(完全けん化物) 英文名 Fully Hydrolized Polyvinyl Alcohol CAS 9002-89-5 (link to ChemIDplus) 別名 ポバール 収載公定書 薬添規(JPE2018) USP/NF(27) EP(4) 用途 結合剤 ■JECFAの評価 (link to JECFA) ADI: 50 mg/kg/日(低吸収性,消化管毒性がみられないことを考慮し,限定された毒性試験成績のみで設定した。ラットを用いた90日間反復投与毒性試験,並びにラットを用いた多世代生殖毒性試験の無作用量: 5000 mg/kg/日,安全係数: 100) ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) マウス 30例のマウスにポリビニルアルコールの100,500,1000 mg/kgを26週間投与した。一般状態,体重増加量に変化はみられなかった。胃腸管,心臓,肺,腎臓,膵臓,甲状腺,脾臓に組織学的変化は認められなかった。(Japanese Standard of Cosmetic Ingredients, 1968) 1) 1群50例のマウス,2群計100例に25%ポリビニルアルコール水溶液の20uLを30日間膣内投与した。投与後,1群はそのままケージに戻し,他の1群は頭部が下になるように保定器に入れ数分間拘束した。投与は30日間行った。対照群の50例には脱イオン水を同様に投与した。被験物質投与に起因した病変は認められなかった。(NTP, 1998) 1) ポリビニルアルコール スポンジを雄性Bar Harbor C57マウスの皮下に埋植した。処置後,1,3,5,6,9及び18週に生検を行った。埋植期間の経過に伴い,生検ごとにスポンジの摘出が困難になった。多量のコラーゲン様物質を伴った線維芽細胞の皮膜がスポンジの内部に浸潤がみられた。スポンジへの血管浸潤が6週の時点で認められた。埋植部位周囲に毒性徴候はみられなかった。本試験は公表論文であり,評価に適した原データは存在しない。(Moore & Brown, 1952) 1) ラット 1群雌雄各20例のSD系ラットにポリビニルアルコールの0, 2000, 3500, 5000 mg/kg/日を90日間混餌投与した。試験はGLPに準拠して実施した。1群雌雄各10例について,神経行動学的検査(投与0及び88〜91日)並びに採血(投与28, 56, 95-96日)を行った。 本試験において死亡はみられなかった。下腹部の汚れを伴う糞便異常が,3500 mg/kg/日以上の群の雄でみられたが,非吸収性物質を高濃度に含む飼料を摂取した影響であり,毒性学的意義は低いものと考えられた。摂餌量は試験期間を通して対照群と同等もしくは軽度の増加を示した。体重,神経行動学的検査,血液学的検査(凝固系を含む),血液生化学的検査,尿検査,器官重量,剖検及び病理組織学手検査において異常は認められなかった。無毒性量は5000 mg/kg/日と考えられた。(Huntingdon Life Sciences, 2000a)1) ■遺伝毒性 in vitro及びin vivo遺伝毒性試験において,ポリビニルアルコールの遺伝毒性を示唆する結果は認められなかった。
■がん原性 (link to CCRIS) 1群100例の雌性B6C3F1マウスに0, 25%ポリビニルアルコール水溶液の20 mLを週5日,104〜105週間膣内投与した。対照群として媒体対照群及び非処置対照群を設定した。PVAの分子量は24000,けん化度88%であった。がん原性を示唆する結果は認められなかった。本試験はNTP Technical Report Review Sub-Committeeによる再評価の対象となった。経口投与による試験に比較して,本試験の妥当性は限定的であった。(National Toxicology Prgram 1980)1) ■生殖発生毒性 (link to DART) 多世代生殖毒性試験 P0及びF1世代共に1群雌雄26例のラットにポリビニルアルコールの0, 2000, 3500, 5000 mg/kgを混餌投与した。交配開始はP0では85日齢,F1では99日齢とした。投与は交配前70日間,交配期間14日間及び剖検までの期間とし,雌の剖検は分娩14日後に実施した。F1児及びF2児の身体発達検査及び体重測定は生後4,7,14及び21日に実施し,21日には無作為に抽出したF1児の生殖パラメータについての検査を行った。すべての親動物の剖検を行い,1群雌雄各5例については,病理組織学的検査(生殖器系組織,肝臓,腎臓,脳)を行い,雄では精子検査も実施した。F1児及びF2児は剖検し,F2の精巣,精巣上体,卵巣,卵管,子宮・膣の器官重量を測定した。 親動物の剖検において異常は認められなかった。P0及びF1親動物の2000 mg/kg/日以上の群の雄で糞便異常及び下腹部の汚れが観察された。この変化については,先に実施した90日間反復投与毒性試験でもみられており,飼料中に高濃度に含まれる非吸収物質によるものであり,PVAの直接毒性を示唆する変化ではないと判断した。統計学的に有意な体重増加量の低下がP0動物の2000及び5000 mg/kg/日群でみられたが,3500 mg/kg/日群の雄,P0雌動物及びF1動物では統計学的に有意な低下は認められなかった。摂餌量の増加が授乳期間中を除きP0及びF1動物の3500 mg/kg/日以上の群で認められた。P0及びF1動物の生殖能及び生殖パラメータ,F1及びF2児の生殖パラメータ及び剖検において,PVA投与に関連した異常は認められなかった。無毒性量は5000 mg/kg/日と考えられた。 以下については該当文献なし ■局所刺激性 ■その他の毒性 ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) ■引用文献 1) WHO food additives series: 52, polyvinyl alcohol (JECFA 52, 2004): (link to WHO DB) |メニューへ| |
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