日本医薬品添加剤協会 |
和名 乳酸アルミニウム 英文名 Aluminium Lactate CAS 18917-91-4 (link to ChemIDplus), (link to JAN DB), (link to JANe DB) 別名 収載公定書 局外規(2002) 外原規(2006) 用途 賦形剤 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus),
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) マウス Swiss-Websterマウス雌に乳酸アルミニウムをアルミニウムとして1000,500,25 μg/kgを6週間以上混餌投与した。体重,摂餌量,毒性徴候を3日間隔で調べた。運動量は5週目に24時間自動機器により測定した。摂餌量の減少はいずれの投与群にも認められなかったが,摂餌には周期的な変化がみられた。体重は対照群と比較して高用量群では増加抑制が認められた。神経毒性徴候はいずれの群でもみられなかったが,局所的な被毛粗剛が用量に応じて増加した。運動量は対照群と比較して,高用量群では水平方向の運動量より垂直方向の運動量が20%減少した。また,高用量群では対照群と比較して昼間の最大運動量が減少し,持続時間も短くなった。低用量群の運動量は対照群と差がなかった。これらのことから,ヒトにおける推定量以内で短期間のアルミニウム摂取は運動量からは神経行動学的な機能に影響を及ぼすことが示唆された。2) (Golub, 1989) ウサギ ニュージランド白色ウサギ雄1群4例に乳酸アルミニウム中性水性液をアルミニウムとして6.2 mg/日,21日間静脈内投与した結果,心筋組織,脾臓,腎臓,肝臓に病理組織学的に種々な変化が認められた。しかし,肺,中枢神経系には意義ある変化はみられなかった。これに反して,ウサギに乳酸アルミニウムをリポソームに懸濁して60 μg/日を42日間静脈内投与した群では,脊髄神経に広範な梗塞がみられ,壊死化した神経細胞に金属の蓄積を伴っていた。薬理学的な意義については調査中。3) (Favarato, 1992) ニュージランド白色ウサギ雄1群8例に乳酸アルミニウム0.1 mmol/kgを週5回,4週間投与した。対照群には乳酸ナトリウム0.3 mmol/kgを投与した。投与群8例中6例で糸球体間質細胞は灰青色の粒状体を含み拡張した。その他,糸球体では8例中6例で微小動脈瘤,8例中6例に部分的な硬化症が伴っていた。糸球体の変化で頻度の少ない所見は半月体,石灰化を伴う壊死,ボーマン嚢の線維化,ボーマン嚢の嚢状拡張,ボーマン嚢への赤血球滲出であった。乳酸アルミニウムによる糸球体の変化のメカニズムは明らかではなかった。しかし,病因は糸球体間質細胞へのアルミニウムの沈着が関連し,微小血管瘤が生じて糸球体間質細胞の融解に繋がると考えられる。硬化性の変化は,微小動脈瘤の続発性変化とみなされる。この所見から,アルミニウムはウサギの糸球体に障害を惹起することが示唆された。また,糸球体間質細胞融解,微小動脈瘤の良い実験モデルでもあった。4) (Hong, 1998) ■遺伝毒性 (link to CCRIS)
■がん原性 該当文献なし ■生殖発生毒性 (link to DART) Swiss-Websterマウス1群15例に乳酸アルミニウムをアルミニウムとして1000,500 mg/kgを妊娠0〜21日まで混餌投与した結果,両群ともに母動物に分娩後12-15日で神経毒性徴候,有意な体重減少がみられた。出生仔は投与量に応じた体重(F=6.47,p<0.001),頭尻長(F=7.37,p<0.0001),肥満度(F=6.90,p<0.0002)の減少が誕生時,離乳時に認められた。出生仔の絶対及び相対肝臓・脾臓重量(F=3.34,p<0.0025及びF=15.54,p<0.001)は対照群と比較して高用量群では減少した。神経行動学的な発育は投与群で遅延したが,ペアフィード(アルミニウム100ppm混餌)対照群と比較して差はなかった。 別途に乳酸アルミニウムをアルミニウムとして40,20,10 mg/kgを妊娠3,5,7,9,12,13,15日に皮下投与した結果,投与用量に応じた毒性所見が認められた。即ち,母動物の脾臓,肝臓重量(p<0.001及びp<0.05)は投与群で有意に増加した。胎仔の頭尻長は20 mg/kg群で有意に短縮した。6)(Golub, 1987) Swissマウスに乳酸アルミニウム627 mg/kg,水酸化アルミニウム166 mg/kg,水酸化アルミニウム166 mg/kgと乳酸570 mg/kg併用を妊娠6〜15日強制経口投与した。その他,乳酸570 mg/kg投与群も設けた。妊娠18日に帝王切開を行い, 生存胎仔の性別,体重,形態学的欠損を調べた。母体毒性についても調べた。生殖性データからは,いずれの群にも胎仔毒性を示唆するものはなかった。ただ,乳酸アルミニウム群では胎児体重の減少がみられた。この群では,形態学的な変化として,口蓋裂,頭頂骨頭頂部の仮骨遅延の頻度増加がみられた。これらのことから,妊娠期にアルミニウムを含む化合物を高用量摂取することは避けるべきと考えられた。7)(Colomina, 1992) Wistar系ラット1群6〜10例に乳酸アルミニウムをアルミニウムとして400,200,100 mg/kgを妊娠1日から分娩時まで混餌投与して出生仔の死亡率,体重増加,運動神経成熟度を調べた。1腹仔数には影響はみられなかったが,最初の週の死亡率が増加した。体重増加は一時的に遅延したが,1腹仔数の少ない出生仔は逆な変化がみられた。生存した出生仔における運動神経成熟度は出生後2週間は重大な障害が認められた。8)(Bernuzzi, 1989) Wistar系ラット1群6〜9例に乳酸アルミニウムをアルミニウムとして400 mg/kgを妊娠1〜7日,妊娠1〜14日,妊娠1〜20日まで混餌投与して出生仔の死亡率,体重増加,運動神経成熟度,学習能力を調べた結果,1腹仔数,死亡率,体重増加に影響は認められなかった。負の走地性試験では,妊娠2及び3週目に投与した雌の出生仔の評点は消失していた。協調性運動,オペラント条件付け試験では,対照群と比較して投与群は中枢神経系の早期中毒が長期間示すなど差が認められた。9)(Muller, 1990) 以下については該当文献なし ■局所刺激性 ■その他の毒性 ■ヒトにおける知見 ■引用文献 1) WHO Environmental Health Criteria 194 Alminium (link to WHO DB) 2) Golub MS, Donald JM, Gershwin ME, Keen CL, Effects of aluminium ingestion on spontaneous motor activity of mice. Neurotoxicol. Teratology 1989; 11: 231-235 3) Favarato M, Zatta PF, Differential aluminum lactate toxicity in rabbits using either aqueous solutions or liposomal suspensions. Toxicol. Letters 1993; 66: 133-146 4) Hong CB, Fredenburg AM, Dickey KM, Lovell MA, Yokel RA, Glomerular lesions in male rabbits treated with aluminium lactate: with special reference to microaneurysm formation. Exp. Toxicol. Pathol. 2000; 52: 139-143 5) Gava C, Perazzolo M, Zentilin L, Levis AG, Corain B, Bombi GG Genotoxic potentiality and DNA-binding properties of acetylacetone, maltol, and their aluminium (III) AND chromium (III) neutral complexes. Toxicol. Environ. Chem. 1989; 22: 149-157 6) Golub MS, Gershwin ME, Donald JM, Negri S, Keen CL, Maternal and developmental toxicity of chronic aluminium exposure in mice. Fundam. Appl. Toxicol 1987; 8: 346-357 7) Colomina MT, Gomez M, Domingo JL, Llobet JM, corbella J, Concurrent ingestion of lactate and aluminum can result in developmental toxicity in mice. Res. Commun. Chem.. Pathol. Pharm. 1992; 77: 95-106 8) Bernuzzi V, Desor D, Lehr PR, Developmental alterations in offspring of female rats orally intoxicated by aluminum chloride or lactate during gestation, Teratology 1989; 40: 231-27 9) Muller G, Bernuzzi V, Desor D, HutinM-F, Burnel D, Lehr PR, Developmental alterations in offspring of female rats orally intoxicated by aluminium lactate at different gestation periods. Teratology 1990; 42: 253-261 |メニューへ| |
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