日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ラウリル硫酸ナトリウム
英文名 Sodium Lauryl Sulfate

CAS 151-21-3 (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 ドデシル硫酸ナトリウム、Sodium Dodecyl Sulfate

収載公定書  局方(JP17),USP/NF(27/22)  EP(4)
用途 安定(化)剤,界面活性剤,滑沢剤,可溶(化)剤,基剤,結合剤,光沢化剤,賦形剤,崩壊剤,乳化剤,発泡剤,分散剤,湿潤剤


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)

反復投与毒性 (link to TOXLINE)


遺伝毒性 (link to CCRIS)
突然変異試験
試験 試験系 濃度 結果 文献
復帰突然 サルモネラ菌 TA98,TA100
TA1535,TA1537
3-333μg/plate 陰性 Mortelmans et al., 19861)
復帰突然 サルモネラ菌 TA98,TA100
TA1535,TA1537,代謝活性化
(ラット又はハムスター肝 S-9, Aroclor1254)
10-1000μg/plate 陰性 Mortelmans et al., 19861)



がん原性
該当文献なし


生殖発生毒性 (link to DART)


局所刺激性
10名の健常人ボランティアの前腕に、10%のラウリル硫酸ナトリウム溶液を適用して24時間パッチテストを行った。貼付部位を24, 26, 28, 30, 48, 72時間観察し、炎症の強さを記録した。炎症は28時間で最も顕著になり、その後時間経過と共に低下した。48及び72時間後の炎症反応はパッチ除去時と類似していた。2) (Dahl and Trancik, 1977)

20名のボランティアを用い、0.25-2%のラウリル硫酸ナトリウムの刺激作用を閉塞性パッチテストで検討した。皮膚試験はパッチ除去24,48,72時間後に行った。0.25%の最低濃度が刺激性に対するボーダーラインであった。反応個体の頻度及び皮膚反応の強さは、全ての濃度で48時間後が最大であった。3) (Bruynzeel et al., 1982)

36名の男性ボランティアの前腕に、種々の濃度のラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて炎症反応の強度と持続性を二重盲検法で検討した。炎症反応の強度及び持続性は、SDSの濃度と適用回数に依存していた。4又は5%濃度では1回24時間の適用で、2又は3%では24時間2回の反復適用で、表皮に炎症反応を惹起するのに十分であった。4) (Novak and Francon, 1984)

11名の健常女性(18-72才)の34部位に2%のラウリル硫酸ナトリウムを適用し、アルミで覆った閉塞性パッチテストを行った。肉眼的に紅斑程度を点数化して評価すると共に皮膚表面の水分量を測定した。初回及び反復適用後の紅斑反応のスコアは0-2(中等度)であった。初回適用後7日間の反復適用した34部位の内、皮膚反応は21部位で亢進し、12部位には変化なく、1部位では低下した。皮膚表面の水分喪失と紅斑亢進とはパラレルであり、水分喪失が先行した。反復適用後の34部位中29部位では水分喪失の有意な増加が、5部位では低下が見られた。これらの結果は、同一部位への1週間の反復適用により皮膚状態は4-5日で一見正常に見えるにもかかわらず皮膚反応は亢進していることを示している。5) (Freeman and Maibach, 1988)


その他の毒性
陽イオン界面活性剤の塩化ベンザルコニウム(BzCl)及び陰イオン界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の影響について、ウサギ角膜上皮細胞の初代培養系を用いて検討した。BzClは、培地から除去24時間後には用量依存的に代謝統合性(ATP/ADP比)を低下させたが、SDSは48時間を通じて殆ど影響を与えなかった。細胞の増殖性は、BzCl比しSDSでは低下した。BzClでは、培地から除去1-3時間後に細胞内Ca++流入増加を来たしたが、SDSでは逆に低下した。BzClは培地から除去1-4時間後には持続性の細胞内pHの低下を来たし24-48時間で正常レベルに回復したが、SDSでは除去1時間後に一過性のpH上昇を来たし、48時間後に低下した。結論として、両界面活性剤はin vitroで角膜上皮細胞に対し全く異なった作用を及ぼし、それがin vivoでの細胞の回復性に異なった影響を与える。6) (Grant and Acosta, 1996)


ヒトにおける知見 (link to HSDB)


参考文献
OECD database (link to SIDS)
小児(link to STEP database;要Login)

1) Mortelmans K, Haworth S, Lawlor T, Speck W, Tainer B, Zeiger E. Salmonella Mutagenicity Tests. II from the Testing of 270 Chemicals. Environ. Mutagen. 1986; 8: 1-119
2) Dahl MV, Trancik RJ. Sodium lauryl sulfate irritant patch tests: degree of inflammation at various times. Contact Dermatitis. 1977; 3: 263-6
3) Bruynzeel DP, van Ketel WG, Scheper RJ, von Blomberg-van der Flier BM. Delayed time course of irritation by sodium lauryl sulfate: observations on threshold reactions. Contact Dermatitis. 1982; 8: 236-9
4) Novak E, Francom SF. Inflammatory response to sodium lauryl sulfate in aqueous solutions applied to the skin of normal human volunteers. Contact Dermatitis. 1984; 10: 101-4
5) Freeman S, Maibach H. Study of Irritant Contact Dermatitis Produced by Repeat Patch Test with Sodium Lauryl Sulfate and Assessed by Visual Methods, Transepidermal Water Loss, and Laser Doppler Velocimetry. J. Amer. Acad. Dermatol. 1988; 19: 496-502
6) Grant RL, Acosta D. Prolonged adverse effects of benzalkonium chloride and sodium dodecyl sulfate in a primary culture system of rabbit corneal epithelial cells. Fundam. Appl. Toxicol. 1996; 33: 71-82




   



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