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和名 ジイソプロパノールアミン 英文名 Diisopropanolamine CAS 110-97-4 (link to ChemIDplus) 別名 1.1’-Iminodi-2-propanol 収載公定書 薬添規(JPE2018) 外原規(2006) 用途 安定(化)剤,基剤,pH調節剤,乳化剤,溶剤,溶解補助剤 ■JECFAの評価 評価されていない。1) ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) 1群雌雄各5匹のFi344 ラットに0、100、300、 600、1200、3000 mg/kgを2週間飲水投与した。1200 mg/kg投与の雌雄に摂餌量および飲水量の軽度な減少が認められ、3000 mg/kg投与群では、摂餌量および飲水量の減少による衰弱のため、雄ラット5匹中2匹が死亡した。病理学的検査では腎臓および膀胱の急性炎症ならびに変性病変が認められた。600 mg/kg以下の群では毒性学的に意義のある所見は認められなかった。1)(CTFA,1984) ■遺伝毒性 (link to CCRIS) 慢性毒性として、2週間600r/sのジイソプロパノールアミン(DIPA)を含む飲料水を摂取させたところなんの異常も見られなかった。またサルモネラ、コレラ菌ミクロソーム試験においてもなんら変異原性を示さなかった。しかしながら、DIPAは、マウス・ラット・モルモット・ウサギにとっては、発癌物質のひとつであるといわれる。3) (Preussmann and Stewaret, 1984) ■がん原性 N-nitrosamine(BHP)及びNa-亜硝酸0、0.150、3.0%の投与によって内因性の発癌物質を励起させたマウスにて試験を行った。Wister-ラット雄は、94週の間飲料水に0,0.15、0.3%Na-亜硝酸 或いは、1% BHPA を与え続けた。尿サンプルを採取し24・34・80週後にて代謝腋の分析を行った結果、BHPAは、検出されなかった。また、Na−亜硝酸だけの投与マウスにも検出されなかった。BHPAプラス0.15、0.3%Na-亜硝酸塩があると鼻腔・肺・食道・肝臓・膀胱の腫瘍をマウスで検出した。最も高い発生率はBHPAプラス0.3%Na-亜硝酸58及び74%含有のマウスで肺・鼻腔に発生していた。これらの 腫瘍は他の動物では検出されなかった。副腎・精子産生細胞の腫瘍の褐色細胞種の発生は、すべてのグループで 検出された。BHPを飲料水として使用しているグループNa-亜硝酸プラスBHPがマウスの内因性の発癌物資を励起したと結論づけられる。また、マウスの鼻腔・肺にできた癌細胞は、外因性Na-亜硝酸でBHPを与えられたものとして比較できるので、環境中のニトロソ化合物のアミン内部から発生するニトロ化は、人の癌の進行のための重要な危険要素の一つであると言える。化合物生合成過程で、N-nitorosoamine(DHP)及び(THPA)を合成しグルタチオン変換酵素を胎盤上での3つのPropanolamineを用いて内因性の肝臓癌発生についてマウスを持って調査した。Wister-マウス雄を6つのグループにし、第1Gをコントロールとした。G2、G3は それぞれ0.15、0.3%のNaNO2 を与した。 またG4は1% DHPA、G6,G5は、それぞれ0.15、0.3%NaNO2 と1%DHPAを与えた。試験パート2では 2%THPAの変わりに1%DHPAを代用した。2) (Yamamoto et al,. 1989) ■生殖発生毒性 該当文献なし ■局所刺激性 皮膚刺激性 100%ジイソプロパノールアミンをウサギの腹部正常および擦過傷皮膚に塗布したところ、正常部位では中等度の充血と重篤な壊死が認められた。擦過傷部位では弱い充血、浮腫ならびに中等度の変性が認められた。 別の実験では、10%水溶液をそれぞれ10箇所のウサギの正常耳および腹部ならびに2箇所の腹部擦過傷皮膚に塗布した。耳では異常は認められなかったが、腹部正常皮膚では中等度の紅斑、軽度水疱形成が認められた。また、擦過傷皮膚では中等度紅斑、軽度浮腫および中等度の変性が認められた。1) (CTFA,1954) 眼粘膜刺激 50mg の100%ジイソプロパノールアミンを12匹のウサギの左目に接種し、右目を対 照とした。接種側では眼瞼、眼球、角膜粘膜のやけどが認められた。接種22日以内にやけどは回復したが、白内障、角膜混濁は残存した。ジイソプロパノールアミンは重度の眼粘膜刺激性を持つと判断された。4)(Toropkov V.V. 1980) 1%ジイソプロパノールアミン0.1mLを6匹の白色ウサギの結膜嚢に接種し、投与1、2、3日にドレーズ法に従って評価した。その結果、刺激指数は0で、刺激性は認められなかった。2)(CTFA,1981) ■その他の毒性 光毒性 6匹のウサギ(ニュージーランド種:雌雄各3匹)を用い、1%ジイソプロパノールアミンの皮膚一次刺激性及び光毒性について調べた。その結果,パッチ除去後1及び4時間後にわずかな浮腫が認められた。 また、ドレイズ法指数の平均値はUV非照射群で1.2(最大8)、照射群で1.3だった。顔の日焼け止め用1%ジイソプロパノールアミン溶液は弱い皮膚一次刺激性及び皮膚光毒性物質と判定された。1)(CTFA,1982) ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) 誤用 その他 皮膚一次刺激性試験 1%ジイソプロパノールアミン含有日焼け止め剤を用い、10人の被験者を用いて48時間貼付密封包帯後、2および24時間後について判定した。 その結果、一次刺激性は認められなかった。1))(CTFA,1981) 累積皮膚刺激性試験 1%ジイソプロパノールアミン含有日焼け止めローション0.5mLを背中上部に半密封包帯にて24時間貼付し、22日間実施した。累積皮膚刺激性スコアは平均0.17-1.31(最大84)であり、累積皮膚刺激性は極わずかであった。1)(CTFA,1981) 光毒性試験 照射を連続3日間行い、3週間(9日間)実施した。試験開始6週目に惹起(UVA)を行い判定したが、光感作性は認められなかった。1)(CTFA,1986) ■引用文献 1) Final report on the safety assessment of diisopropanolamine, triisopropanolamine, isopropanolamine, and mixed isopropanolamine.J. Am. Coll. Toxicol. 1987; 6: 53-76 2) Carcinogenesis,Vol.10、No.9,pages 1607-1611, 26reference, 1989 3) Gigiene Truda Profeeional’nye Zabodovaniya Vol.3、pages75-82, 1969 4) Toropkov,V.V. Clinical-morphological study on the effect of isopropanolamines on the eye. Gig. Tr. Prof. Zabol. 1980; 2: 48-50 |メニューへ| |
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