日本医薬品添加剤協会 |
和名 食用赤色102号 英文名 Food Red No.102 CAS 2611-82-7 (link to ChemIDplus), 51811-48-4 (link to ChemIDplus) 別名 ニューコクシン、2-ヒドロキシアゾナフタレン-4’,6,8-トリスルホン酸三ナトリウム 収載公定書 食添(JSFA-IX) 用途 着色剤 ■JECFAの評価(FAS 18, (1983)) (link to JECFA) 毒性作用を示さない用量 マウス:0.25%(2500 ppm)混餌(375 mg/kg体重に相当)1) ヒトの1日摂取許容量(ADI)の推定値 0〜0.4 mg/kg体重1) ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)1)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) マウス マウス 82週間反復投与毒性試験 マウス(Ash-CS1系)雌雄各30匹の群に対して、本色素を0.01、0.05、0.25、1.25%で82週間混餌投与し、マウス雌雄各60匹の群を対照群とした。本色素は消化管内で黄色代謝物に変換された。本色素を混餌投与しても、死亡率、体重増加、臓器重量、あるいは腫瘍発生率に有害な影響は認められなかった。試験の最初の6ヶ月間に、本色素0.25%、1.25%投与群に軽度貧血が認められた。1.25%投与群の肝臓で泡状の細網内皮細胞発現率が上昇し、1.25%および0.25%投与群で糸球体腎症の発生率が上昇した。本試験は、マウスにおける最高1.25%までの混餌投与において、本色素に発がん性は認められないことを示している。無作用量(no-untoward-effect level)は0.05%であった1)(Mason et al., 1974)。 ラット ラット9週間反復投与毒性試験/生殖試験/がん原性試験 Wistarラット各雌雄66匹から成る群に、本色素を50、500、1250 mg/kg/日となるように9週間混餌投与した。雌雄114匹には基礎飼料を投与し、対照群とした。各雌は同投与群の雄1匹と13日間つがいにし、投与は妊娠期間中および児の哺育中にも継続した。1群の同腹児につき雌雄各1匹の児を選択し、雌雄各54匹の投与群、雌雄各96匹の対照群を構成した。児への投与量を親動物と同じにするため、このような選択を行い、投与は生存動物が約20%になるまで継続した。この結果、雄の最長投与期間は114週間、雌の最長投与期間は118週間となった。本色素のため、全投与動物の毛はピンク色に着色したが、この所見を除くと、受精率および哺育などの親動物の観察所見に、投与と関連するものは認められなかった。 生涯にわたって50、500、1250 mg/kg/日の本色素を投与した児の生存率に、差は認められなかった。1250 mg/kg群の雌雄にわずかな体重増加抑制が認められたが、それは摂餌量の減少によるものではなかった。500または1250 mg/kg/日群では、軟便および形状を成さない糞便がみられたが、これは盲腸壁重量とその内容物の増加および糞便の水分消失と関連すると考えられる。このような水分消失は同群動物の摂水量を増加させていると判断された。3、6、12、18、24ヶ月後および試験終了時の血液学的検査において、投与と関連すると考えられる変化は認められず、3、6、12、18、24ヶ月後に行われた腎濃度検査または細胞排泄量と尿pH測定においても、投与による有害な影響を示すと考えられる変化はみられなかった。18および24ヶ月後に1250 mg/kg/日群の雌で、尿中蛋白濃度の高い個体が対照群に比して多くなった。 最低用量および最高用量群の雄において、用量とは無関係に腎臓重量の増加(各々、+123%および+128%)がみられたが、同様の結果は雌では認められず、また、このような重量増加と関連する組織学的所見も認められなかった。精巣重量は高用量の2群で高値となった(各々、+114%および+133%)。盲腸重量と腎臓重量が増加したことを除き、残りの臓器重量は本色素の影響を受けなかった。病理組織学的試験、および試験終了時に屠殺した動物の血清および血漿の分析のいずれにおいても、対照群と投与群に投与と関連すると考えられる差は認められなかった。腫瘍の種類および発生率は、本系統ラットにおいて予想される範囲の値であり、各所見を認める動物の数、および良性および悪性腫瘍を認める動物の総数に、用量と関連する増加はみられなかった。ラットにおいては、生存期間の大半で1250 mg/kg/日の本色素を混餌投与しても、発がん性を示さないと結論付けられた。無作用量(no-untoward-effect level)は500 mg/kg/日であった1) (Stevenson et al., 1981)。 ラット 90日間反復投与毒性試験 ラット雌雄各16匹から成る群に本色素を0、0.5、1、2%で90日間混餌投与した。2%投与群雌でトランスアミナーゼ値、赤血球数、ヘモグロビン濃度がわずかに上昇したことを除き、外観、行動、発育、摂餌量、血液学的指標、血清GPTおよびGOT値に有害な影響は認められなかった。腎機能試験結果および臓器重量は正常であった。肉眼的な病理学的検査および病理組織学的検査では、試験群間に差は認められなかった1,2) (Gaunt et al., 1967)。 ラット 417日間反復投与毒性試験 ラット10匹に本色素を0.2%で417日間混餌投与した。総摂取量は11 g/匹となった。観察は1011日間行った。ラット1匹が死亡した。腫瘍は認められなかった(DFG, 1957)。同様の試験において、1%の本色素水溶液として、ラット11匹に飲水投与した。216日間の投与期間で1日の摂取量は1 g/kgとなった。総摂取量は52 g/匹となった。791日間動物を観察した。ラット1匹は肝臓に肉腫を発現し、他の2匹は死亡した1) (DFG, 1957)。 ラット 64週間反復投与毒性試験 ラット雌雄各10匹から成る4群に本色素を0、0.03、0.3、3%で64週間混餌投与した。死亡率に影響は認められなかった。試験期間中を通して、最高用量群の雌の摂餌量が対照群に比して低値となり、16週目と64週目の体重は有意に低くなった。雌では、心臓、肝臓、腎臓の相対重量が増加した。組織学的検査、およびヘモグロビン値に対する影響は認められなかった1,2) (Allmark et al., 1957)。 ブタ ブタ 3ヶ月間反復投与毒性試験 大型の白ブタ雌雄各3匹から成る4群に対して、0(対照群)、100、300、900 mg/kg体重の本色素を3ヶ月間混餌投与した。最高用量群の雌1匹が23日目に死亡したが、死亡の原因は腸感染症であった。発育、尿および血清成分、臓器重量、あるいは病理組織学的検査所見について、投与群と対照群に差は認められなかった。6週目に、900 mg/kg/日投与群雄の赤血球数がわずかに減少した1,2) (Gaunt et al., 1969)。 ■遺伝毒性 (link to CCRIS), (link to GENE-TOX) 復帰突然変異試験 本色素をE.coliの培地に0.5 g/100mlの濃度に添加し培養を行ったが,突然変異を発現する影響を現さなかった2) (Lueck et al., 1960)。 Rec assay Escherichia coliの培地において、本色素0.5 g/100 mLの変異原性について試験したところ、変異原性は認められなかった1) (Luck & Rickerl, 1960)。組換え機序によってDNA修復能を有する(rec+)および有さない(rec-)状態にしたBacillus subtilis突然変異株を用いて、in vitroにて本色素の変異原性を試験した。細菌致死率の増加はみられなかった。これは、本色素がDNAと反応しないことを示す1) (Kada et al., 1972)。 ラット胎児の肝細胞を用いて、異なる11種の食品着色料の細胞毒性を試験した。本色素は中等度の毒性を示すと評価された1) (Sako et al., 1980)。 ■がん原性 (link to CCRIS) マウス マウス 82週間反復投与毒性試験 マウス(Ash-CS1系)雌雄各30匹の群に対して、本色素を0.01、0.05、0.25、1.25%で82週間混餌投与し、マウス雌雄各60匹の群を対照群とした。本色素は消化管内で黄色代謝物に変換された。本色素を混餌投与しても、死亡率、体重増加、臓器重量、あるいは腫瘍発生率に有害な影響は認められなかった。試験の最初の6ヶ月間に、本色素 0.25%、1.25%投与群に軽度貧血が認められた。1.25%投与群の肝臓で泡状の細網内皮細胞発現率が上昇し、1.25%および0.25%投与群で糸球体腎症の発生率が上昇した。本試験は、マウスにおける最高1.25%までの混餌投与において、本色素に発がん性は認められないことを示している。無作用量(no-untoward-effect level)は0.05%であった1) (Mason et al., 1974)。 ラット ラット がん原性試験 ラット75匹に本色素を0.1%で混餌投与した。腫瘍は認められなかった。ラット10匹に0.2%で混餌投与したところ、同様の結果が得られた。混餌投与はラットの生存期間中継続した1) (DFG, 1957)。 ラット9週間反復投与毒性試験/生殖試験/がん原性試験 Wistarラット各雌雄66匹から成る群に、本色素を50、500、1250 mg/kg/日となるように9週間混餌投与した。雌雄114匹には基礎飼料を投与し、対照群とした。各雌は同投与群の雄1匹と13日間つがいにし、投与は妊娠期間中および児の哺育中にも継続した。1群の同腹児につき雌雄各1匹の児を選択し、雌雄各54匹の投与群、雌雄各96匹の対照群を構成した。児への投与量を親動物と同じにするため、このような選択を行い、投与は生存動物が約20%になるまで継続した。この結果、雄の最長投与期間は114週間、雌の最長投与期間は118週間となった。本色素のため、全投与動物の毛はピンク色に着色したが、この所見を除くと、受精率および哺育などの親動物の観察所見に、投与と関連するものは認められなかった。 生涯にわたって50、500、1250 mg/kg/日の本色素を投与した児の生存率に、差は認められなかった。1250 mg/kg群の雌雄にわずかな体重増加抑制が認められたが、それは摂餌量の減少によるものではなかった。500または1250 mg/kg/日群では、軟便および形状を成さない糞便がみられたが、これは盲腸壁重量とその内容物の増加および糞便の水分消失と関連すると考えられる。このような水分消失は同群動物の摂水量を増加させていると判断された。3、6、12、18、24ヶ月後および試験終了時の血液学的検査において、投与と関連すると考えられる変化は認められず、3、6、12、18、24ヶ月後に行われた尿中成分濃度または沈渣と尿pH測定においても、投与による有害な影響を示すと考えられる変化はみられなかった。18および24ヶ月後に1250 mg/kg/日群の雌で、尿中蛋白濃度の高い個体が対照群に比して多くなった。 最低用量(+123%)および最高用量群(+128%)の雄において、用量とは無関係に腎臓重量の増加がみられたが、同様の結果は雌では認められず、また、このような重量増加と関連する組織学的所見も認められなかった。精巣重量は高用量の2群で高値となった(+114%および+133%)。盲腸重量と腎臓重量が増加したことを除き、残りの臓器重量は本色素の影響を受けなかった。病理組織学的試験、および試験終了時に屠殺した動物の血清および血漿の分析のいずれにおいても、対照群と投与群に投与と関連すると考えられる差は認められなかった。腫瘍の種類および発生率は、本系統ラットにおいて予想される範囲の値であり、各所見を認める動物の数、および良性および悪性腫瘍を認める動物の総数に、用量と関連する増加はみられなかった。ラットにおいては、生存期間の大半で1250 mg/kg/日の本色素を混餌投与しても、発がん性を示さないと結論付けられた。無作用量(no-untoward-effect level)は500 mg/kg/日であった1) (Stevenson et al., 1981)。 ラット 216日間がん原性試験 本色素1%含有の飲水をラット11匹に216日間投与し、791日間観察した。ラット2匹が試験期間中に死亡した。そのうち1匹の肝臓には肉腫が認められた1) (DFG, 1957)。 ラット365日間がん原性試験 ラット13匹に対して、1%の本色素0.5 mLを週2回365日にわたって皮下(s.c.)投与した。観察を857日間続けた。試験中にラット5匹が死亡した。腫瘍は認められなかった1) (DFG, 1957)。 ラット 417日間がん原性試験 ラット10匹に本色素を0.2%で417日間混餌投与した。総摂取量は11 g/匹となった。観察は1011日間行った。ラット1匹が死亡した。腫瘍は認められなかった(DFG, 1957)。同様の試験において、1%の本色素水溶液として、ラット11匹に飲水投与した。216日間の投与期間で1日の摂取量は1 g/kgとなった。総摂取量は52 g/匹となった。791日間動物を観察した。ラット1匹は肝臓に肉腫を発現し、他の2匹は死亡した1) (DFG, 1957)。 ラット 20ヶ月間がん原性試験 Wistar系ラットの雌雄それぞれ20匹からなる群に本色素の0.04、0.2、1%含有飼料を20ヶ月投与したが、成長、飼料並びに水の摂取量、死亡率において検体投与による影響はなかあった。6ヶ月及び13ヶ月に各群のそれぞれ4及び5匹解剖して諸検査を行ったが、6ヶ月における血液学的検査いずれの群においても異常はなく、血液の生化学的検査では6ヶ月において雌の1%群においてグルコースの有意の減少が見られたが、13ヶ月では雄の1%群に血清たん白のA/G比の有意の増加が認められた以外変化はなかった。器官重量では、6ヶ月で雌雄共1%群で甲状腺重量増加の傾向を示したが、13ヶ月ではいずれの群においても異常を示す器官は認められなかった。腫瘍については、特に検体投与に起因すると考えられる腫瘍発生の増加は認められなかった2) (池田良雄, 1967)。 ■生殖発生毒性 (link to DART) マウス マウス 催奇形性試験 NMRIマウス(使用動物数不明)に、妊娠0〜7日あるいは妊娠6〜18日の期間、本色素 7.5、30、100 mg/kg体重を連日強制経口投与した。妊娠18日に胎児を取り出し、詳細に検査した。着床数、胎児死亡数および胚吸収率、肉眼的奇形、骨格奇形あるいは内部奇形、ならびに胎児の体重から判断される発育遅延に、本色素投与による影響は認められなかった1) (Larsson, 1975)。 ラット ラット 生殖試験 Brantonらは、雌,雄ラット(F0)に本色素を含む飼料を食餌として投与し、0(対照群)、50、500及び1,250 mg/kg/日で60日間投与後、交配させて得たラット雌,雄各群96匹(対照群)及び56匹(投与群)を用いて、離乳後F0と同様、本色素経口投与を行い、慢性毒性を調べた。本色素投与は、118週まで継続した。高濃度投与群で体重増加率の低下が見られたが、摂餌量の減少はみられなかった。また、高濃度投与群の雌において18ヶ月以後、高頻度のたん白尿が観察された。一方、腫瘍発生率は、対照群との間に有意差はなかった。本試験結果により、本色素の無影響量は500 mg/kg/日と判明した2) (Branton, 1987)。 ラット 生殖試験/催奇形性試験 3世代のWistarラットに本色素を0、50、500、1250 mg/kg/日となるように混餌投与した。雌雄の動物を使用し、36匹の投与群、60匹の対照群という群構成にした。親世代(F0)には離乳時から本色素を投与した。妊娠中および授乳中にも投与を継続し、次世代は、子宮内投与も含め、生涯にわたって同色素を投与した。親世代には2回出産させ、F1aおよびF1b世代をもうけた。F1a世代はその後の世代と長期試験用の動物を確保するために使用した。 F1b世代からは出生前および出生後の発育に関するデータを得た。F1b、F2、F3世代胎児については骨格の発達を調べ、出生させた同腹児については、生存および発育の指標を出生後最初の21日間観察した。すべての動物は、屠殺して剖検に供した。剖検時、各世代から選択した動物について臓器重量を調べ、F3世代については組織学的検査を実施した。 試験中、3世代(F0、F1a、F2)すべての成熟ラットのうち、雌8匹および雄2匹が死亡、あるいは病気のために屠殺された。これらの動物の大半は妊娠後期の雌であったが、このような動物の剖検で、投与に関連した所見は認められなかった。試験を通して認められた全般的な所見としては、本色素投与による動物毛のピンク色着色および本色素 500 mg/kg/日および1250 mg/kg/日投与群でより黄色に着色した軟便の排泄が認められた。黄色の着色は、投与動物の盲腸内容物にも認められ、その着色は、黄色代謝物が含まれていることが原因であった。 交配前3世代の混餌投与期間中における体重、摂餌量および摂水量についての臨床的観察結果および記録に、投与と関連すると考えられる変化は認められなかった。様々な剖検において、全用量群で消化管へのピンク色着色が認められた。2高用量群の動物で、長期投与後に盲腸腫脹が認められたが、離乳ラットでは認められなかった。また同用量群のF2およびF3出生児の肝臓重量は低値になった。このような所見は有害な影響を示しているとは判断されなかった。 F0、F1a、F2世代の妊娠雌ラットの子宮内容物を検査したところ、着床前および着床後胚損失率あるいは胎児の体重および外観に、投与と関連する差は認められなかった。このような胎児の着色した骨格の検査から得られた唯一の所見は、投与群の骨格の方がわずかに発達が進んでいたことであった。生存、体重、および発育指標から判断して、同腹児を出産させた雌から得られた出生児の出世後の発育は、投与による影響を受けていなかった。 F3世代の動物から得られた組織の組織学的検査において、本色素 1250 mg/kg/日投与群と非投与群に差は認められなかった。本試験では、3世代にわたる1250 mg/kg/日までの本色素投与には有害な影響は認められなかったと結論付けられた。成熟動物の生殖行動、児のin utero発育および出生後の発育は正常であった1) (Stevenson et al., 1980)。 ラット 催奇形性試験 SPF Wistarラット(使用動物数不明)を用いて本色素に関する胚毒性試験を実施した。本色素 0、1000、2000、4000 mg/kg体重/日を蒸留水に溶解して、妊娠1〜20日に強制経口投与した。妊娠21日に胎児を取り出した。黄体(CL)数、着床数、死亡または生存胎児数、あるいは肉眼的奇形、骨格および内部奇形、胎児体重に、本色素投与に起因する影響は認められなかった1) (Meyer & Hansen, 1975)。 ラット 催奇形性試験 妊娠Wistarラットに対して、妊娠期間中、本色素を0、0.01、0.1、1%で混餌投与した。満期の胎児を観察したところ、胚死亡あるいは子宮内胎児発育に関して本色素投与に起因する有害な影響は認められなかった。0.01%投与群で後肢の指節骨の骨化数に減少が認められたことを除き、骨格および内臓の肉眼的異常は概ね認められなかった。出生後の試験では、生存率、体重増加、骨格の発達、外部分化は、本色素投与群と対照群で同様であった。しかし、1%投与群の出生児には出生8週後に、腎盂腫脹の発生増加が認められた。この問題を再検討するため、同系統の妊娠ラットに対して、妊娠期間中、本色素を0、0.01、1%で混餌投与し、児を出産させた。出生児の腎臓を出生後4日、3週、10週、22週に肉眼的に検査した。対照群を含め、各群で腎盂腫脹が観察されたが、本色素投与群と対照群で発生率に有意な差は認められなかった。腎盂腫脹がみられた腎の組織学的検査では、顕著な病理学的変化は認められなかった。本色素投与群では、その他の腎異常は認められなかった。結論として、本色素はラットの出生前および出生後発育に有害な影響を及ぼさないと判断された1) (Kihara et al., 1977)。 ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 モルモット モルモット 感作性試験 モルモットによる試験では、本色素は感作性を示さないことが確認された1) (Bar & Griepentrog, 1960)。 ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) ヒト アレルギー試験 アレルギー徴候を示す患者51人に対する一連の試験で、経口摂取した本色素に16%の患者が反応したことを明らかにされた。この反応率は、他の合成色素の場合と同等であり、アスピリンや天然色素(アナトー抽出物)よりも低かった。本色素が感作物質であるかどうか、あるいはその反応が他の物質との交差反応であるかどうかを明らかにする証拠は得られなかった1) (Mikkelson et al., 1978)。 色素に対してアレルギー性接触皮膚炎発現する可能性があると診断された患者50人に対して、本色素を含む17種類の色素物質についてパッチテストを実施した。試験したいずれの患者も本色素に対して感作性を示さなかった1) (Rapaport, 1980)。 ■引用文献 1) WHO Food Additive Series No.18 Ponceau 4R 1983 (link to WHO DB) 2) 第7版食品添加物公定書解説書 |メニューへ| |
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