日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ソルビン酸
英文名 Sorbic Acid

CAS 110-44-1 (link to ChemIDplus)
別名 2,4-Hexadienoic acid, 2-Propenyl acrylic acid
収載公定書  薬添規(JPE2018),食添(JSFA-IX), 外原規(2006)   USP/NF(27/22) EP(4)  
用途 防腐剤,保存剤


JECFAの評価量 (link to JECFA)
実験動物における無毒性量、2500mg/kg bw/dayに安全係数100を適用し、一日許容摂取量(ADI)は0-25mg/kg bw。1) (第17回会議, 1974)


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 経口 10,500mg/kg Deuel et al, 1954a1)
ラット 経口 7,400mg/kg Witter et al, 19501)
ラット 経口 7,360mg/kg Smyth & Carpenter, 19481)



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
1群雌雄各25匹のマウスに、体重1kg当たり0又は40mgのソルビン酸を強制経   口で2ヶ月間 毎日与えた。死亡率、体重増加、摂餌量は検体投与群と対照群間で差   がなかった。投与終了5日間、給餌を50%に制限したところ死亡率、体重減少は対照より影響が少なかった。4塩化炭素を0.1ml(50%油液)投与した時の死亡率は、検体投与群は対照群より少なかった。1) (Shtenberg & Ignatev, 1970 )

1群雌雄各50匹のマウスに、体重1kg当たり0又は80mgのソルビン酸を強制経   口で3ヶ月間毎日与えた。検体投与群の成長は対照に比べ若干抑制された。18日間、給餌を90%に制限したところ死亡率は対照と変わりがなかった。4塩化炭素を0.1ml(50%油液)投与した時、対照群は30%死亡したが、検体投与群はゼロであった。1) (Shtenberg & Ignatev, 1970 )

ラット
ラットに、ソルビン酸を1%若しくは10%含む餌を80日間与えた。成長、内蔵器官の組織に異常は認められなかった。1) (Kramer & Tarjan, 1962)

2系統のラットに、ソルビン酸を4%若しくは8%含む餌を90日間与えた。体重増加に影響はなかった。4%群は腎臓、肝臓等の組織の異常はなかった。8%群は相対肝重量が増加していた、しかし病理組織は正常であった。1) (Deuel et al, 1954 )

雌雄5匹のラットに、ソルビン酸を0%若しくは10%含む餌を120日間与えた。投与群の一般状態、摂餌量は正常だったが、数匹の相対肝重量比が増大していた。1) (Demarce et al, 1955)

ラットに、ソルビン酸を1%若しくは10%含む餌を4ヶ月間与えた。1%群は血中コレステロール濃度は正常だったが、10%群は同濃度が高く、内蔵器官に脂肪の蓄積が認められた。2ヶ月後白血球数が減少し、コリンエステラーゼ活性が若干低下した。1) (Slavkov & Petrowa, 1964)

ラット雌雄各50匹にソルビン酸を0%若しくは5%含む餌を2世代にわたり与えた。第1代は終生飼育した。雌雄いずれでも検体投与群の生存期間は対照群より長かった。これは肺感染が防止されたためと推測される。第2代は250日まで飼育後対照群と共にと殺して主要臓器の病理検査を行ったが異常は認められなかった。2世代を通して、体重増加、繁殖性、一般状態に影響はなかった。1) (Lang 1960, 1967)

ラット雌雄各10匹にソルビン酸を混餌により40mg/kg毎日17ヶ月間与えた。血液のpH、C反応性たん白濃度、組織像は対照群と同等であった。また、血清セルロプラズン、血清補体、白血球の食細胞にも有意の変化は認められなかった。1) (Shtenberg & Ignatev, 1970)

イヌ
複数のイヌに、ソルビン酸若しくはカプロン酸を4%加えたチェダーチーズ50%を含む餌を3ヶ月間与えた。一般症状は検体無投与対照群とかわりがなかった。また、病理組織検査でも異常は認められなかった。1) (Deuel et al, 1954a)

ウサギ
ウサギに、ソルビン酸を3.3g/kg体重、毎日与えたが有害な症状は認められなかった。1) ( Kuhn, 1937)


遺伝毒性 (link to CCRIS)


がん原性
マウス
雌雄マウス33匹に、ソルビン酸を油に溶かして繰り返し44回皮下投与し、合計 31mg与えた。33匹の対照群には油のみ与えた。マウスの生存期間は平均40週であった。皮下投与局部に悪性腫瘍は生じなかった。投与群と対照群で同数の自然発症の乳ガンが認められた。1) (Gericke, 1968)

雌雄マウス各50匹に、ソルビン酸40mg/kg体重を混餌で17ヶ月間与えた。腫瘍は投与群、対照群いずれでも認められなかった。一般状態、行動、増体重、生残率は投与群と対照群間で差がなかった。投与群の肝臓、腎臓、精巣の相対重量は対照群より少なかった。1) (Shtenberg & Ignatev, 1970)

ラット
ラットにソルビン酸を、油若しくは水溶液で皮下で反復投与したところ、いずれの場合も投与局部に肉腫が生じた。ソルビン酸カリウムは同様の投与で腫瘍は認められなかった。ソルビン酸を飲水混入で(10mg/100ml)64週間、ソルビン酸カリウムを飲水混入で(0.3%)、若しくは混餌で(0.1%)100週間与えた。いずれの群でも投与による腫瘍は生じなかった。1) (Dickens et al, 1966, 1968)

ラット6匹にソルビン酸を水溶液(2mg/0.5ml)で、皮下投与により週2回、56 - 60週   間与えた。別にラット1群各12匹に、ソルビン酸の油溶液若しくは対照として油のみを同様に与えた。油のみを与えた対照群では局部並びに遠隔部位に腫瘍は認められなかった。ソルビン酸を水溶液で与えた群は注射局部に線維肉腫が2つ出来た。ソルビン酸を油溶液で与えた群では局部に腫瘍は認められなかった。1)  (Dickens, et al, 1968)


生殖発生毒性 (link to DART)
マウス
マウスにソルビン酸を0若しくは40mg/kg体重、ナイシン2mg/kg体重を8ヶ月間与えた後交配させ、F1世代からF4世代まで繁殖させた。体重増はそれぞれの世代につき生後3.5ヶ月で比較した。F4世代においてのみソルビン酸投与群は対照群に比べて体重増が多かった。1) (Shtenberg & Ignatev, 1970)

ラット
一群5匹の雌雄ラットにソルビン酸0若しくは10%含む餌を120日間与えた。 60日後交配させたところ同数の子が生まれた。F1世代14匹を対照餌、19匹を10%ソルビン酸餌で70日間飼育後交配させた。子の数は両群で差がなかった。肝重量は雌の投与群は対照群と差がなかったが、雄では抑制されていた。1) (Demarce et al, 1955)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)



引用文献
1) WHO Food Additive Series No.5 Sorbic acid and its calcium, potassium and sodium salts 1974 (link to WHO DB)
食品添加物(カルシウム塩) (link to 評価書)

   

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