日本医薬品添加剤協会 |
和名 チオグリコール酸 英文名 Thioglycolic Acid CAS 68-11-1 (link to ChemIDplus) 別名 メルカプト酢酸、mercaptoacetic acid, thioglycollic acid, 2-mercatoethanoic acid, thiovanic acid, mercaptoacetic acid sodium salt, sodium mercatoacetate 収載公定書 薬添規(JPE2018) 外原規(2006) 用途 安定(化)剤,溶解補助剤 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus) マウスおよびラットの胃に投与したときのチオグリコール酸毒性の主要パラメータは、マウスの場合LD16 205 mg/kg、LD50 250 mg/kg(229〜292 mg/kg)、LD84 312 mg/kg、ラットの場合はそれぞれLD16 72 mg/kg、LD50 120 mg/kg(89〜105mg/kg)およびLD84 166 mg/kgであった。内臓の組織学的検討の際に肝臓の脂肪変性、脾髄への出血および肺のうっ血徴候が認められた。チオグリコール酸の毒性試験の際に単回吸入投与で投与群を死亡させることはできなかったが、これはおそらくチオグリコール酸の揮発性が低いためである。2) 急性吸入毒性 チオグリコール酸アンモニウム 水性チオグリコール酸アンモニウム(60%チオグリコール酸)を含有する液滴エアゾルの急性吸入毒性をラット(動物数(number)および系統の記載なし)で評価した。動物をエアゾルに1時間曝露した後、14日間観察した。LC50は2.75 mg/Lを超えた。死亡動物はみられなかった。少数の動物に呼吸困難がみられ、曝露後24時間を越えると症状は観察されなかった。剖検で、軽微肺障害が観察された。 急性経口毒性 チオグリコール酸グリセリルを投与したラットで、LD50 は0.1〜0.5 mL/kgであった。また、ラットにおいて19.9〜22.0%のチオグリコール酸グリセリルを含有する酸性ウェーブ剤の1 g/kgの用量はLD50より低かった。17.5%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールドウェーブ剤1 g/kgをラットに投与した試験でも同様の結果が報告されている。チオグリコール酸アンモニウム原薬を用いた試験は実施されていない。 短期経口毒性 チオグリコール酸アンモニウム 2.0 gのチオグリコール酸アンモニウムを2日間投与したイヌ(平均体重=11.0 kg)に毒性症状は認められなかった。用量を5.0 gに増量すると嘔吐が発現した。 急性腹腔内および静脈内投与毒性 チオグリコール酸ならびにこのアンモニウム塩およびナトリウム塩の急性腹腔内および静脈内投与毒試験を下表にまとめる。
急性皮膚毒性 10.98%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.0%ジチオグリコール酸2アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液(pH 7.0)の皮膚毒性をニュージーランド白色ウサギ24匹(雄12匹、雌12匹、2.3〜3.0 kg)を用いて評価した。溶液を不透過性スリーブを用いて体幹部の(毛を刈った)皮膚に24時間接触させた。動物12匹の皮膚を塗布前に擦過した。試験した各動物の投与部位に軽度紅斑が認められた。平均LD50(動物24匹)は7.9±0.5 mL/kgであった。 ■反復投与毒性 (link to TOXLINE) 亜慢性腹腔内投与毒性 チオグリコール酸ナトリウム チオグリコール酸ナトリウム5%溶液100 mg/kgを断餌したOsborne-Mendel(Yale)系雄ラット5匹(125±32.1 g)に腹腔内投与した。同一系統のラット5匹を無投与対照群とした。週5日、24週間投与した。投与群の動物2匹が16週を迎える前に事故により死亡した。24週終了時に、投与群と対照群の体重増加に有意差はみられなかった。剖検で、意味のある剖検病変は観察されなかった。以下の器官を検鏡した:肝臓、腎臓、副腎、脾臓、甲状腺および膵臓。チオグリコール酸ナトリウムの投与に起因する唯一の組織病変として軽微から軽度の甲状腺過形成がみられた。 短期皮膚毒性 チオグリコール酸アンモニウム 17.5%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールド・ウェーブ製品(pH 7.3〜7.6)100 mLの皮膚毒性を3群(各群12匹)のニュージーランド白色ウサギ(雄18匹、雌18匹、体重1.5〜3.5 kg)を用いた21日の試験で評価した。第1日および第2日に、3群にそれぞれ0.25、0.5および0.75 mL/kgの用量を投与した。第3〜5日は、製品を等量の水で希釈して、3群にそれぞれ0. 5、1.0および2.0 mL/kgの用量で投与した。1群12匹の動物に蒸留水(0.75 mL/kg)を投与して対照群とした。投与は(毛を刈った)背部皮膚にシリンジから塗布した。1群3匹の投与部位は擦過した。各部位をガーゼ製(1〜2層)のパッチおよび密封包帯で4時間覆った。この後、各部位を拭取り、Draizeスケールに従って刺激反応を判定した。試験の第3日までに29匹の動物(低用量群8匹、中用量群11匹および高用量群10匹)に重度紅斑が観察された。製品を希釈しても皮膚刺激の程度は減少しなかったため、第1週の後でこの試験は中止された。死亡は1例のみ(第3日、高用量群)であった。対照群(2匹、)低用量群および中用量群(各2匹)および高用量群(3匹)の9匹の動物を剖検した。死亡動物を含めて、7匹の投与群動物中6匹に痂皮が観察された。この死亡動物には胃腸炎を示唆する剖検所見も認められた。対照群動物には病変はみられなかった。死因は被験物質の投与と関連しなかった。 0.6Nチオグリコール酸アンモニウムを含有する16のローションおよび0.6Nチオグリコール酸ナトリウムを含有する1つのローションの皮膚毒性を雌雄ウサギの群(体重2.3〜3.0 kg、系統の記載なし)を用いて試験した。1ローションを除きすべてのローションは市販の湿潤剤を含有した。各ローションを毛を剃った皮膚(右側)に毎日連続20日間塗布した。最終塗布後に3週間の観察期間をおいた後、LD50を計算した。LD50(チオグリコール酸mg/kg/日)とは、20日間の投与および3週間の観察で50%の動物が死亡する1日量と定義した。試験終了時に、動物の組織を剖検および検鏡した。最大毒性(LD50=50.0±3.6 mg/kg、動物33匹)は、チオグリコール酸アンモニウムおよび10%活性塩化ベンザルコニウムを含有し、湿潤剤を含有しないローションを投与した群でみられた。最小毒性(LD50>365 mg/kg、動物12匹)は、チオグリコール酸アンモニウムを含有し湿潤剤は含有しないローションを投与した群でみられた。チオグリコール酸ナトリウムおよび4%活性Triton X-200を含有するローションを投与した群(ウサギ33匹)のLD50は93.3±6.1 mg/kgであった。チオグリコール酸アンモニウムおよび0.5%活性塩化ベンザルコニウムを含有するローションの投与群のみで、顕著な皮膚病変が報告された。この群で、1回または2回の皮膚塗布後に既に強い炎症がみられた。後に広範囲の刺激および壊死が観察された。過剰な体重減少がみられた。剖検および検鏡(全投与群)で少数の動物に肺うっ血所見が観察された。 亜慢性皮膚毒性 チオグリコール酸アンモニウム 7.0%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールド・ウェーブ液(pH 9.0〜9.5)の皮膚毒性を白色ウサギを用いて評価した。それぞれ0.5、1.0、2.0および4.0 mL/kgの用量で4コールド液を90日間皮膚に塗擦した。4.0 mL/kg群のウサギ18匹中11匹および2.0 mL/kg群のウサギ17匹中2匹が死亡した。1.0 mL/kg群(17匹)および0.5 mL/kg群(15匹)には死亡動物はみられなかった。動物約50匹の皮膚切片の検鏡で観察された病変は軽度皮膚炎であった。 ■遺伝毒性 (link to CCRIS) 変異原性 チオグリコール酸アンモニウム チオグリコール酸アンモニウムの変異原性をAmesらの方法でネズミチフス菌の1535、1537および1538株を用いて評価した。1535および1538株は0.25〜5.0 mg/プレートの濃度で、1537株は0. 5〜5.0 mg/プレートの濃度で試験した。チオグリコール酸アンモニウムに変異原性はみられなかった。 チオグリコール酸 チオグリコール酸の変異原性をAmesらの方法でネズミチフス菌LT2のTA 1535、TA 1537およびTA 1438株を用いて評価した。チオグリコール酸(DMSOで希釈)は、代謝活性化系存在下および非存在下で1、10、100および1000μg/プレートの濃度で試験した。すべての濃度を各菌株に加えて48時間(37℃)培養した後、復帰変異コロニー数を測定した。DMSOを陰性対照とした。β-ナフチルアミン、ニュートラルレッドおよび2-アセチルアミノフルオレンを陽性対照として用いた。代謝活性化系存在下および非存在下ともにチオグリコール酸に変異原性はみられなかった。 別の試験で、チオグリコール酸の変異原性を大腸菌のSd-4-73株を用いてペーパー・ディスク法で評価した。栄養ブロスおよびストレプトマイシン(20μg/mL)を含む培地に菌を接種した。被験物質の溶液1滴(0.01〜0.25 mL)または結晶を各寒天プレート上に置いたフィルター・ペーパー・ディスクに付着させた。変異原性は、ストレプトマイシン依存性株から非依存性株への復帰突然変異体数の増加によって検出される。チオグリコール酸に変異原性はみられなかった。 伴性劣性致死突然変異試験を用いてチオグリコール酸の変異原性を評価した。チオグリコール酸(0.5 mL)を対照溶液100 mLに溶解して被験物質の0.5%溶液を調製した。対照溶液は1M KOHおよびカルミン(赤色色素)を含有する1%スクロース液を用いた。Canton-S系雄ハエ(4〜5日齢)に試験溶液に浸したパッドから摂餌させた(24時間)。腹部が赤色色素で覆われたハエだけを変異原性試験に使用した。試験溶液は試験した309のX染色体のいずれにも変異原性を示さなかった。 チオグリコール酸ナトリウム チオグリコール酸ナトリウムの変異原性をサルモネラ菌/哺乳類ミクロゾームを用いた変異原性試験で評価した。ネズミチフス菌のTA 1535、TA 100、TA 1538、TA 98およびTA 1537株にそれぞれチオグリコール酸ナトリウムを5回以上加えて代謝活性化系存在下および非存在下で試験した。最高試験濃度は3600μg/プレートとした。試験したいずれの菌株においても被験物質は変異原性を示さなかった。 別の試験で、チオグリコール酸ナトリウムの変異原性を伴性劣性致死突然変異試験を用いて評価した。25 mMチオグリコール酸ナトリウム5.0%サッカロース液を1回(LD50近似量)、Berlin K(野生型)およびBasc系キイロショウジョウバエに与えた。3連続同腹ハエの各々について試験あたり約1200のX染色体を観察した。試験では、時に1つの同腹ハエのみを試験した。F2世代を2匹以下の野生型雄とともに飼育して常法によりF3世代で再試験し、伴性劣性致死突然変異を確認した。被験物質に変異原性はみられなかった。 チオグリコール酸ナトリウムの変異原性を小核試験でも評価した。被験物質を2回(各285 mg/kg)、0および24時にマウス3匹に腹腔内投与した。動物1匹を対照群とした。初回投与の30時間後に骨髄塗抹標本を作製した。マウス1匹あたり1000個の多染性赤血球を観察した。被験物質に変異原性はみられなかった。 ■がん原性 チオグリコール酸ナトリウム チオグリコール酸ナトリウムの癌原性をEppleyコロニーの雌Swissマウス94匹(7週齢)ならびに雌ウサギ10匹(8週齢)を用いて評価した。被験物質の1.0%アセトン溶液(0.02 mL)をマウス49匹の各(肩甲間部の)剃毛した皮膚ならびにウサギ5匹の各左耳内側に週2回塗布した。また、チオグリコール酸ナトリウムを2%アセトン溶液の濃度でマウス45匹ならびにウサギ5匹に同様に塗布した。マウス93匹およびウサギ5匹を陰性対照群とした。マウス40匹およびウサギ5匹の陽性対照群には7,12-ジメチルベンズ[a]アントラセンを使用した。マウスはすべて死亡時まで試験したが、ウサギは第85週に屠殺した。投与群マウスおよび対照群マウスはいずれも投与120週を超えて生存しなかった。少数動物に肺炎および肝炎などの感染性疾患が発現し、死亡数が増加する結果となった。投与群および陰性対照群マウスに多数の腫瘍、すなわち、リンパ腫、肺腺腫、肝血管種、卵巣腫瘍および皮膚線維種が観察された。上皮腫瘍は観察されなかった。投与群と陰性対照群のマウスの腫瘍の発現頻度に有意差はみられなかった。ウサギに腫瘍は観察されなかった。投与群マウスまたはウサギにおいて寿命の有意減少は観察されなかった。チオグリコール酸ナトリウムに癌原性はみられなかった。 ■生殖発生毒性 (link to DART)3) チオグリコール酸ナトリウムを妊娠6−9日ラットに200 mg/kg/dayで投与したところ、母ラットの体重減少、体重増加、給水増加、1匹の死亡が認められた。胎児の体重減少を認めたが、催奇形性は認めなかった。ウサギの妊娠6−29日に200 mg/kg/dayで投与したところ、胎児の催奇形性は認めなかった。 ■局所刺激性 眼刺激性 チオグリコール酸アンモニウム 17.5%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールド・ウェーブ製品(pH 7.3〜7.6)の眼刺激性をニュージーランド白色ウサギ9匹を用いて評価した。製品(0.1 mL)を各動物の一側の結膜嚢に滴下した。動物3匹の眼を滴下後に洗浄した。無処置眼を対照として使用した。滴下後1、2、3、4および7日に眼球の反応をDraizeスケールに従って判定した。第1日に、ウサギ6匹中3匹の無洗浄の眼に結膜発赤が観察された。反応は第3日までに消失した。(眼を洗浄した)ウサギ3匹中1匹でも第1日に結膜発赤が発現した。反応は第3日までに消失した。滴下24時間後のDraizeスコアは無洗浄眼で1.0および洗浄眼で0.7であった。 皮膚刺激性 チオグリコール酸アンモニウム 各種濃度(0.05〜30%)のチオグリコール酸アンモニウムを含有する親水性軟膏をHartleyモルモット10匹の皮膚に塗布した。皮膚刺激性はみられなかった。 17.5%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールド・ウェーブ製品(pH 7.3〜7.6)の皮膚刺激性をニュージーランド白色ウサギ4匹を用いて評価した。擦過および無傷皮膚に製品を閉塞パッチで4時間塗布した。塗布後4、24および72時間に以下のスケールに従って反応を判定した:1(軽微紅斑)〜4(重度紅斑〜軽度痂皮形成)、1(軽度浮腫)〜4(重度浮腫)。4および24時間後に観察された大部分の(擦過および無傷部位の)反応は明確な紅斑および軽度浮腫であった。72時間後には軽微紅斑および浮腫の反応が観察された。本製品は中等度の皮膚刺激性があり、一次刺激指数は2.30であった。第2の試験で、擦過および無傷皮膚にパッチを24時間貼付する方法で同一コールド・ウェーブ製品の皮膚刺激性を評価した。一次刺激指数は2.45であり、本製品は中等度の皮膚刺激性があると認められた。 7.1%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.2%水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液の皮膚刺激性を白色ウサギ6匹で評価した。溶液を体幹部(擦過および無傷皮膚)に塗布し、塗布部位をガーゼ・パッチで24時間覆った。塗布後24および72時間に反応を以下のスケールで判定した:0(紅斑なし)〜4(重度紅斑〜軽度痂皮形成)、0(浮腫なし)〜4(重度浮腫)。刺激指数は0.1で、本液は非刺激性であると判定された。以前の試験(同一試験法)でも、本液は非刺激性(刺激指数=0.6)であると判定された。 ■その他の毒性 抗原性 皮膚刺激性および感作性 チオグリコール酸 9.0%チオグリコール酸(pH 8)の皮膚刺激性および感作性をオープン皮膚塗布(epicutaneous)試験で評価した。モルモット8匹で試験した。被験物質(0.1 mL)を側腹部の毛を刈った8 cm2の皮膚面に毎日21日間塗布した(感作期(induction phase))。各24時間の期間の最後に(週末は除く)投与部位を0(皮膚刺激性なし)〜4(重度皮膚刺激性)のスケールで判定した。第21日および35日に(惹起期(challenge phase))、被験物質を対側の側腹部に塗布した。塗布後24および48時間に部位の判定を行った。感作期に、動物7匹で軽度皮膚刺激性から明確皮膚刺激性の反応が観察された。動物1匹は軽度皮膚刺激性から中等度皮膚刺激性の反応がみられた。惹起期に反応は観察されなかった。被験物質に刺激性はみられたが、感作性は認められなかった。 皮膚感作性 チオグリコール酸アンモニウム チオグリコール酸アンモニウムの感作性をクローズド皮膚塗布試験で評価した。感作期に、30%チオグリコール酸アンモニウムをモルモット(Hartley系)8匹の皮膚に塗布した。動物に0.2%〜30.0%の濃度のチオグリコール酸アンモニウムを惹起投与した。動物4匹は30.0%チオグリコール酸アンモニウムに感作反応を示したが、0.2%チオグリコール酸アンモニウムには反応を示さなかった。チオグリコール酸アンモニウムは軽度感作物質であると結論された。 別の試験で、チオグリコール酸アンモニウムの感作性を皮膚塗布試験によって評価した。チオグリコール酸アンモニウムをメチルセルソルブとTween80の混合液に溶解して1、2、5および10%の濃度で白色モルモット(近交系)20匹の側腹部に塗布した。最初に、動物の側腹部に10%チオグリコール酸アンモニウムを毎日10日間塗布して感作した。この後、動物に1、2および5%チオグリコール酸アンモニウムを惹起投与した。モルモット3匹で5.0%チオグリコール酸アンモニウムに弱い感作反応が観察された。2%または1%チオグリコール酸アンモニウムではいずれのモルモットにも感作反応は観察されなかった。第2の試験で、モルモット40匹をチオグリコール酸誘導体で(同様の方法で)感作した後、5%チオグリコール酸アンモニウムを惹起投与(challenge)した。半数の動物は10%チオグリコール酸ヒドラジドで感作し、残りの半数は10%チオグリコール酸グリコールエステルで感作した。チオグリコール酸ヒドラジドで感作した動物2匹のみで、5%チオグリコール酸アンモニウムに弱い感作反応が観察された。 7.0%チオグリコール酸アンモニウム、5.0%尿素および1.2%水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液の感作性をmaximization testを用いて評価した。第1回感作期に、Hartleyモルモット10匹にウェーブ液(濃度5%)を皮内注射した。これらの注射液中のチオグリコール酸アンモニウムの有効濃度は0.35%であった。溶液は単独およびフロイント完全アジュバント液として注射した。7日の無処置期間をおいて、ウェーブ液(無希釈)を48時間局所塗布した(第2回感作)。2週後に動物にこの液(無希釈)を24時間局所塗布して惹起した。感作反応を0(反応なし)〜3(強い発赤および腫脹)のスケールに従って判定した。試験したいずれの動物にも感作反応は観察されなかった。 さらに、maximization testを用いて8.3%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.40%、水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液の皮膚感作性を評価した。溶液はそれぞれ15%および75%の濃度、それぞれ1.2%および6.2%のチオグリコール酸アンモニウムの有効濃度で試験した。試験したHartleyモルモット10匹のいずれにも感作反応は観察されなかった。7.2%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.5%水酸化アンモニウムを含有する別のパーマネント・ウェーブ液の感作性をHartleyモルモット10匹を用いて(同様の方法で)評価した。溶液は15%および75%の濃度、それぞれ1.1%および5.4%のチオグリコール酸アンモニウムの有効濃度で試験した。溶液に感作性はなかった。 maximization testを用いて5.8%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.28%水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液の感作性を評価した。Hartleyモルモット10匹(体重300〜500 g)で試験した。第1回感作期に、5.0%の被験物質の脱イオン水溶液およびフロイント完全アジュバント液(チオグリコール酸アンモニウムの有効濃度0.29%)を皮内注射した。第2回感作時に、75.0%の被験物質溶液(チオグリコール酸アンモニウムの有効濃度4.4%)を局所感作パッチ(induction patch)により塗布した。動物に4.4%および0.88%チオグリコール酸アンモニウムを含有する試験溶液を惹起投与した。惹起パッチの貼付後24および48時間に、これらの部位を0(反応なし)〜3(強い発赤および腫脹)のスケールに従って判定した。試験したいずれの動物にもアレルギー反応は観察されなかった。7.0%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.2%水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液を(同様の方法で)惹起期に50%の濃度(チオグリコール酸アンモニウムの有効濃度3.5%)で試験した場合も、Hartleyモルモットで同様の結果が観察された。 1.14%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.17%水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液の感作性をHartley白色モルモット10匹を使用したmaximization testで評価した。第1回感作期に、無希釈液およびフロイント・アジュバントの乳液の両液を皮内投与した。第2回感作期に溶液を5.0%の濃度(チオグリコール酸アンモニウムの有効濃度0.057%)で局所感作パッチにより貼布した。惹起期に動物に無希釈溶液でパッチ試験した。試験したいずれの動物にもアレルギー反応は観察されなかった。 10.98%チオグリコール酸アンモニウムおよび1.0%ジチオグリコール酸2アンモニウムを含有する別のパーマネント・ウェーブ液(pH 7)の感作性をKligman-Magnussonのmaximization test変法で評価した。製品を蒸留水およびフロイント・アジュバントで5.0%の濃度(チオグリコール酸アンモニウムの有効濃度0.5%)に希釈してHartley白色モルモット10匹(体重300〜500 g)に投与した。最初に、希釈製品を各動物の(毛を刈った)前背側部に皮内注射した。注射後7日に、剃毛皮膚(同一部位)に閉塞パッチで被験物質を塗布して粘着テープで固定した。14日の無処置期間をおいて、被験物質を浸した閉塞パッチを各動物の(毛を刈った)側腹部に24時間貼付した。パッチの除去後24および48時間に、0(反応なし)〜3(強い発赤および腫脹)のスケールに従って部位の判定を行った。陽性対照(動物2匹)および陰性対照(動物2匹)には、上記の方法に従って、それぞれ5%ホルマリンおよび水を投与した。被験物質は試験したいずれの動物にも感作反応を誘発しなかった。 1.25%チオグリコール酸水溶液(アンモニアでpH 9.0〜9.3に調整)の感作性をHartleyまたはConnaughtモルモット10匹(体重300 g)を用いて評価した。溶液を週3回計10回各動物の(片側の毛を剃った皮膚)皮内に注射した。初回注入量は0.05 mLとし、続いて各0.10 mLを投与した。10回目注入の後10〜14日に、動物に2.5%チオグリコール酸0.05 mLを(新たな部位に)惹起投与した。4または5匹のモルモットを無処置対照として使用した。いずれの動物にも感作反応は観察されなかった。 ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) 臨床安全性評価 皮膚刺激性 チオグリコール酸塩の高pH 溶液を「被覆」パッチにて試験した場合には通常、一次皮膚刺激性が認められる。このパッチ試験法では、チオグリコール酸塩は24時間以上皮膚に残って接触し、一次刺激反応を起こすと考えられる。しかしながら、実際の使用条件下では、コールド・ウェーブ液は無毛皮膚と一瞬たりとも密接に接触しない。さらに、製造者はチオグリコール酸および誘導体で刺激性が起こりうることを認識しており、これをパーマネント・ウェーブの使用説明書および文献に以下のとおり特に記載している。 眼/皮膚の接触を避け、誤って接触した部位は十分に洗い流し、毛髪および頚部の周囲には吸収剤を使用し、顧客にパーマネントその他の化粧品でアレルギー反応が起こったことがあるかを質問し(ある場合はパーマを施さない)、頭皮の過敏性あるいは痛み、擦過傷または異常症状をチェックする(ある場合はパーマを施さない)など、適切な注意を払う。 チオグリコール酸アンモニウム チオグリコール酸アンモニウムの皮膚刺激性をコールド・ウェーブ液を使用したことのない患者39例(男子28例、女子11例)について評価した。すべての被験者に0.5 N、1.0 Nおよび1.5 Nのチオグリコール酸アンモニウム溶液でパッチテスト(48時間曝露)を行った。1.0 Nチオグリコール酸アンモニウム溶液は約11%のチオグリコール酸塩である。1.0 Nチオグリコール酸アンモニウムをパッチテストした部位に軽微紅斑(患者1例)および紅斑(2例)が観察された。1.5 Nチオグリコール酸アンモニウをパッチテストした部位では次の反応が観察された:軽微紅斑(患者1例)、紅斑(1例)、紅斑と浮腫(1例)および紅斑と浮腫+小水疱または丘疹(3例)。0.5 Nチオグリコール酸アンモニウムをパッチテストした部位には反応はみられなかった。 別の試験で、チオグリコール酸アンモニウム(1:100希釈)を14例のアトピー患者(13〜60歳)に皮内投与した。紅斑および膨疹形成を0から4+のスケールで判定した。以下の反応が観察された:患者6例(4+)、患者3例(3+)、患者3例(2+)および患者2例(1+)。 7.1%チオグリコール酸アンモニウム、5.0%尿素および1.20%水酸化アンモニウムを含有する2種のパーマネント・ウェーブ液の皮膚刺激性を被験者25例(18〜65歳)について評価した。溶液は標準パッチまたは綿パッチで背部の肩甲部または肩甲間部に塗布した。パッチは密封テープで24時間固定した。パッチ除去の2〜3分後に反応を0(反応なし)〜4(浮腫および小水疱を伴う重度紅斑)のスケールに従って判定した。この手順を毎日(日曜日を除く)連続計21日間繰り返した。両液は強い刺激性があると判定された。 7.0%チオグリコール酸アンモニウム(pH 9.6)をパッチテストした被験者(数の記載なし)に皮膚刺激性は観察されなかった。パッチは1時間貼付した。第2の試験で、被験者(数の記載なし)に7.0および6.5%チオグリコール酸アンモニウム液のパッチテストを行った。7.0%液(pH 9.6)は0.2%のジチオグリコール酸を、6.5%液(pH 9.4)は1.4%のジチオグリコール酸を含有した。綿製のパッチを試験溶液に浸漬してバンドエイドで覆い、ウォッチグラスに入れてテープおよびコロジオンで密閉固定した。パッチは24時間おいた。いずれの被験者にも皮膚刺激性は認められなかった。 6.5%チオグリコール酸アンモニウム液を154例の被験者の皮膚に毎日2ヵ月間塗布した。各塗布時間は40〜60分間であった。いずれの被験者にも皮膚刺激性は認められなかった。 チオグリコール酸 4.5%チオグリコール酸を含有するローション・ベースを患者45例のそれぞれ2×2 cmの皮膚面に塗布した。10分後に部位を洗い流した。いずれの被験者にも炎症徴候はみられなかった。12時間おいて、ローションを恥骨部、会陰部および陰嚢部に塗布し、10分後に部位を洗い流した。33例の患者においてローションは刺激性を示さなかった。患者11例は数分のみ持続する陰嚢周囲の熱感を訴えた。 粘膜刺激性 チオグリコール酸アンモニウム 喘息患者14例(13〜60歳)に以下のチオグリコール酸アンモニウムの希釈液を噴霧吸引させた:1:10、1:100、1:10,000および1:100,000。曝露後、患者13例に以下の徴候および症状が発現した:喘息性呼吸、コントロール不可能な発作性咳嗽、咽頭刺激および鼻閉または鼻漏。咽頭刺激は患者の過敏性の程度に応じて0.5〜2時間持続した。8例の対照群患者(非喘息および非アトピー患者)は被験物質に陽性反応を示さなかった。 皮膚刺激性および感作性 チオグリコール酸アンモニウム 18.0%チオグリコール酸アンモニウムの皮膚刺激性および感作性を反復傷害パッチテスト(repeat insult patch test)変法で健康被験者220例(男子25例、女子195例、18〜66歳)について評価した。被験者にさらに同時に23.4%チオグリコール酸グリセリルのパッチテストを実施したが、この結果は皮膚刺激性および感作性の本項の後の部分にまとめている。いずれの被験者もヘアー・パーマネント製品のパッチテストを受けたことがなく、すべての被験者に全試験期間中にヘアー・パーマを行わないように指示した。 試験への参加前2週以内にパーマをかけた被験者あるいはヘアー・パーマネント製品に過敏症の被験者は除外した。被験物質(0.2 mL)を各被験者の背部の肩甲骨と腰部の間の正中線に接する部分に2 cm×2 cmのパッチにより塗布して半密封テープで固定した。各感作パッチには新たな部位を使用した。塗布は月曜、水曜および金曜に行い、24時間計9回の塗布を行った。 火曜および木曜にパッチを除去する場合はそれぞれの後に24時間の無処置期間をおき、土曜では48時間の無処置期間をおいた。次のパッチを貼付する前に、各部位の反応を0(影響所見なし)〜4(深紅色紅斑で、小水疱形成または湿潤を伴うことあり)のスケールに従って判定した。12〜14日の無処置期間をおいた後、各被験者の新たな部位に24時間の惹起パッチを行った。 反応は通常、塗布後24および48時間に判定した。当初の220例の被験者のうち3例は、最初の3回の感作時に一方または両方の被験物質に対して中等度より重度の紅斑の反応がみられたために除外し、12例の被験者は試験の実施に関係しない個人的な理由で試験を中止した。試験を終了した205例の被験者のうち、96例の被験者で感作期ないしは第1回惹起期に軽微から軽度の非特異的紅斑ないしは軽度〜中等度の紅斑が観察された。第1回惹起期に、被験者6例で軽度紅斑(スコア=1)と分類される反応がみられ、1例の被験者で中等度紅斑(スコア=2)がみられた。中等度紅斑よりも重度の反応は観察されなかった。 これらの7例の被験者を第2回惹起に選択したが、4例は参加を断った。第2回惹起後、被験者1例は反応がみられず、もう1例は塗布後24時間に軽微紅斑を認めたが、48時間後には認められなかった。3番目の被験者は24時間で反応はみられず、48時間で軽微紅斑がみられ、塗布後72時間で潜在性の中等度紅斑がみられた。著者は、18.0%チオグリコール酸アンモニウムは試験した被験者群の約47%(96/205例)において軽微から中等度の刺激性を示し、被験者205例の第1回惹起パッチテストおよび3例の被験者を対象とした第2回惹起パッチテストの結果では、アレルギー性接触皮膚炎の所見はみられなかったと結論した。 別の試験で、18.0%チオグリコール酸アンモニウムの皮膚刺激性および感作性を反復傷害パッチテスト変法で健康被験者220例(男子24例、女子196例、18〜69歳)について評価した。これらの被験者にさらに同時に23.4%チオグリコール酸グリセリルのパッチテストを実施したが、この結果は皮膚刺激性および感作性の本項の後の部分にまとめている。いずれの被験者もヘアー・パーマネント製品のパッチテストを受けたことがなく、すべての被験者に試験期間全体にわたりヘアー・パーマを行わないように指示した。 試験への参加前2週以内にパーマをかけた被験者あるいはヘアー・パーマネント製品に過敏症の被験者は除外した。被験物質(0.2 mL)を各被験者の上腕外側部に2 cm×2 cmのパッチで塗布して半密封テープで固定した。同一部位を各感作パッチに使用し、部位を塗布前に洗い流した。塗布は月曜、水曜および金曜に行い、5時間で計9回の塗布を行った。 月曜および水曜にパッチを除去する場合はそれぞれ後に43時間の無処置期間をおき、金曜の場合は67時間の無処置期間をおいた。次のパッチを貼付する前に、各部位の反応を0(影響の所見なし)から4(深紅色紅斑で、小水疱形成または湿潤を伴うことあり)のスケールに従って判定した。12〜14日の無処置期間をおいた後、各被験者の新たな部位に24時間の惹起パッチを行った。 反応は通常、塗布後24および48時間に判定した。当初の220例の被験者のうち計199例が試験手順を終了した。2例の被験者は、最初の3回の感作時に一方または両方の被験物質に対して軽度よりも重度の紅斑の反応がみられたために除外した。被験者1例は反応、すなわち熱感およびそう痒を伴う軽微紅斑のために試験を中止し、18例の被験者は試験の実施に関係しない個人的な理由で試験を中止した。試験を終了した199例の被験者のうち、54例の被験者で感作期ないしは第1回惹起期に軽微〜著明紅斑がみられた。 第1回惹起期に、被験者3例で軽度紅斑(スコア=1)と分類される反応がみられ、1例の被験者で軽度および中等度紅斑(スコア=2)がみられた。中等度紅斑よりも重度の反応は観察されなかった。これらの4例の被験者を第2回惹起に選択したが、1例は広範な皮膚炎のために参加しなかった。第2回惹起後にみられた反応は次のとおりであった:被験者1例は塗布後24および48時間に軽微紅斑がみられ、72時間には中等度紅斑および浮腫が発現し、被験者1例は24および48時間に反応はなく、72時間に軽微紅斑がみられ、1例は24、48または72時間に反応はみられなかった。著者は、18.0%チオグリコール酸アンモニウムは試験した被験者群の約27%(54/199例)において軽微〜著明刺激性があり、被験者199例の初回反復傷害パッチテストおよび被験者3例を対象とした第2回惹起パッチテストの結果から、被験者2例は軽度の非持続性刺激反応が起きた可能性があり、被験者1例はおそらく中等度アレルギー性接触皮膚炎が誘発されたものと結論した。 反復傷害パッチテストを用いて14.4%チオグリコール酸アンモニウムならびに10.8%、14.4%、18.0%および21.6%チオグリコール酸グリセリルの皮膚刺激性および感作性を計240例の被験者(男子32例、女子208例、18〜69歳)について評価した。240例の被験者群について14.4%チオグリコール酸アンモニウムでパッチテストを行い、さらに被験者各60例の4群(同一被験者240例)についてそれぞれ10.8%、14.4%、18.0%および21.6%チオグリコール酸グリセリルでパッチテストを行った。 これらの濃度のチオグリコール酸グリセリルでパッチテストした被験者の結果は、本項の表題「チオグリコール酸グリセリル」に記載する。月曜、水曜および金曜に、肩甲骨と腰部の間の正中線に接する部分に被験物質を24時間塗布(0.2 mL、半閉塞パッチ)した。続いての感作パッチには新たな部位を使用した。 火曜および木曜にパッチを除去する場合はそれぞれ後に24時間の無処置期間をおき、土曜では48時間の無処置期間をおいた。次のパッチを塗布する前に、各部位の反応を0(影響の所見なし)〜4(重度、深紅色紅斑に小水疱形成または湿潤を伴うことありと定義)のスケールに従って判定した。この試験手順を計9回繰り返した。15〜19日の無処置期間をおいた後、新たな試験部位で惹起パッチを行った。反応は塗布後24および48時間に判定した。 惹起期に軽度紅斑(スコア=1)より強い反応がみられた被験者は、28日後に新たな部位に再惹起を行った。計20例の被験者が感作期に投与と関連のない理由で試験を中止した。4例の被験者は14.4%チオグリコール酸アンモニウムに反応を示し、軽微紅斑(被験者2例)、軽度浮腫を伴う軽度紅斑(1例)および中等度紅斑(1例)がみられた。試験を終了した220例の被験者のうち、4例は24時間惹起判定は行えなかった。これらの被験者は、48時間惹起判定時および感作期とも反応は認められなかった。被験者220例のうち12例は、感作期のみに14.4%チオグリコール酸アンモニウムに反応を示した。軽微紅斑(スコア=+)と分類される反応が主であった。 これより強い反応が3例の被験者で観察され、被験者1例は軽度紅斑(スコア=1)および2例は中等度紅斑(スコア=2)を示した。2回以下の感作塗布で反応が観察された。被験者7例は、惹起期のみに14.4%チオグリコール酸アンモニウムに反応を示した。軽微紅斑と分類される反応が主であった。被験者1例で、これより強い反応である軽度浮腫を伴う中等度紅斑(スコア=2e。48時間の判定)が観察された。反応は第2回惹起後には観察されなかった。著者は、14.4%チオグリコール酸アンモニウムはヒト被験者で臨床的に意味のある刺激性あるいはアレルギー性接触皮膚炎所見を誘発しないと結論した。 被験者223例の群(18〜34歳、正常皮膚)について、0.55 Nチオグリコール酸アンモニウム(ほぼ6.0%溶液、pH 9.3)のパッチテストを行った。被験者65例は植物による接触皮膚炎の既往歴があり、被験者21例は他のタイプの皮膚障害の既往歴があった。また、被験者101例は以前にコールド・ウェーブ剤を使用したことがあった。 試験溶液はエラストパッチ(elastopatch)で右腕の内側表面および左腕の同様の部位に塗布した。塗布後48時間にパッチを除去して、部位の判定を行った。さらに、その後約48時間毎に部位を判定した。第1回塗布の2週後に同一部位にパッチを再貼付した。24例の被験者でチオグリコール酸アンモニウムに対する反応が観察された。0.55 Nチオグリコール酸アンモニウムで(同一方法で)再試験した被験者213例のうち、26例は即時反応を示した。26例の被験者のうち1例で遅発反応がみられた。0.55 Nチオグリコール酸アンモニウムは皮膚刺激性および感作性を起こすと結論された。 患者286例(男子143例、女子143例)について、0.86%アンモニアおよび4.61%チオグリコール酸を含有するヘアー・ウェーブ・ローション(pH 9.21)のパッチテストを行った。パッチは48時間から7日間貼付した。大部分の患者は以前にコールド・ウェーブ剤の成分に曝露されたことがなかった。試験した患者のうち、63例は真菌感染症および61例は湿疹性皮膚炎があった。残る162例の患者は各種の皮膚疾患であると報告されている。試験した286例のいずれの患者にも皮膚刺激性は観察されなかった。20〜40日後にパッチテスト(患者109例)を繰り返しても、感作反応は観察されなかった。 別の試験で、863例の被験者について、0.86%アンモニアおよび4.61%チオグリコール酸を含有するヘアー・ウェーブ・ローション(上記と同一)のパッチテストを行った。これらの被験者のうち、140例は皮膚疾患があったが、他の被験者は正常であった。16例の被験者にウェーブ剤の反応(種類の記載なし)が観察され、うち5例はウェーブ・ローションとの接触によらない皮膚疾患の既往歴があった。被験者15例を再テストしたところ、2例で明確な陽性反応がみられた。テスト前にこの2例の被験者はそれぞれ5回および3回コールド・ウェーブを使用していた。 9.0%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールド・ウェーブ製品(pH 9.3〜9.5)の皮膚刺激性および感作性をDraize-Shelanski反復傷害パッチテストによって52例の被験者(29〜77歳)で評価した。各被験者の上背部に連続21日間に9回製品の感作パッチ(半閉塞法)を行った。各パッチは23時間おいた後、部位を0(反応なし)〜4(重度紅斑から軽度痂皮形成、重度浮腫)のスケールで判定した。最終感作パッチの貼付後12日に惹起パッチを(新たな部位に)行い、各パッチは23時間おいた。貼付後48および72時間に(同様のスケールで)部位の判定を行った。試験中のいずれの時点でも製品に対する反応は観察されなかった。本製品は刺激性も感作性もないと認められた。 7.1%チオグリコール酸アンモニウム、5.0%尿素および1.20%水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液の皮膚刺激性および感作性を、被験者211例を対象として上記の方法で評価した。48例の被験者に反応が観察され、被験者27例は感作期、19例は感作期と惹起期、被験者3例は惹起期に反応を示した。反応は、感作期が軽度紅斑〜浮腫および小水疱形成を伴う重度紅斑で、惹起期では軽度紅斑〜浮腫を伴う重度紅斑であった。 別の試験で、17.5%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールド・ウェーブ液の25%水溶液(pH 7.3〜7.6、チオグリコール酸アンモニウム有効濃度4.4%)の皮膚刺激性および感作性を54例の被験者(18〜67歳)について評価した。溶液は腕の内側部または背部に閉塞パッチで塗布した。各被験者に計10回の塗布を行った。火曜および木曜にパッチを除去する場合はそれぞれ後に24時間の無処置期間をおき、土曜の場合は48時間の無処置期間をおいた。無処置期間に各部位の反応を0(反応なし)〜4(小水疱形成または湿潤を伴う深紅色紅斑)のスケールに従って判定した。 最終感作パッチを貼付して10〜18日後に、元の部位および隣接部位に24時間の惹起パッチを行った。貼付後24および48時間に(同様のスケールで)部位の判定を行った。感作期に7例の被験者で紅斑(桃色から明赤色)が観察された。これらの反応は惹起期には観察されなかったことから、累積刺激作用あるいは軽度感作性の反応と分類された。惹起期に3例の被験者でアレルギー性接触感作性を示唆する反応、すなわち均質な桃色紅斑(被験者1例、元の部位および隣接部位)、桃〜赤色から明赤色紅斑(1例、隣接部位)および桃〜赤色紅斑(1例、隣接部位)が観察された。 この惹起期に反応を認めた3例の被験者ならびに反応を認めなかった16例の被験者を20.0%コールド・ウェーブ液(チオグリコール酸アンモニウム有効濃度3.5%)で再惹起した。反応を認めた被験者は4週間の無処置期間を置いて再惹起を行い、反応を認めなかった被験者では8週間の無処置期間を置いた。3例の被験者のうち1例でアレルギー性接触感作性を示唆する反応が観察された。16例の被験者では2例がそれぞれ軽微紅斑および桃色の均質紅斑を示した。 17.5%チオグリコール酸アンモニウムを含有する別のコールド・ウェーブ製品(pH 7.3〜7.6)の皮膚刺激性および感作性を102例の被験者(15〜73歳)について上記の方法で評価した。製品は25%の濃度(チオグリコール酸アンモニウム有効濃度4.4%)で蒸留水に溶かして試験した。感作期に20例の被験者で紅斑(桃色から桃〜赤色)が観察された。これらの反応は惹起期には観察されなかったことから、軽度の累積刺激性であると分類された。10例の被験者に、累積刺激性あるいは軽度感作性のいずれかと分類される感作反応(桃色から桃〜赤色紅斑)が観察された。この分類は、惹起期にさらに軽微紅斑または紅斑(桃色外観)が観察されたことによった。中等度アレルギー性接触感作性(桃〜赤色から明赤色紅斑)を示唆する反応が惹起期に2例の被験者で観察された。 12.0%チオグリコール酸アンモニウム、5.0%尿素および0.61%水酸化アンモニウムを含有するパーマネント・ウェーブ液の皮膚刺激性および感作性をDraize-Shelanski-Jordanのパッチテスト変法によって評価した。計191例の被験者(男子52例、女子139例)を試験した。製品を1.0%溶液(チオグリコール酸アンモニウム有効濃度0.12%)に希釈し、隔日に24時間計10回背部に閉塞パッチで塗布した。13日の無処置期間をおいた後、各被験者の背部に48時間の惹起パッチを行った。7日後に第2回惹起パッチ(接触時間48時間)を行った。塗布後48および72時間に部位を判定した。反応を0(反応なし)〜4(浮腫および小水疱を伴う重度紅斑)のスケールに従って判定した。以下の反応が観察された:軽度紅斑(感作期に被験者3例、惹起期に7例)、重度紅斑(感作期に被験者1例)および軽度紅斑〜浮腫を伴う重度紅斑(感作期に被験者1例)。本製品は1%の濃度に希釈すると、刺激性またはアレルギー性はないと認められた。 皮膚感作性 チオグリコール酸アンモニウム チオグリコール酸アンモニウムの皮膚感作性を手に皮膚炎のある被験者19例(18〜28歳)についてオープンまたは閉鎖パッチテストで評価した。1群20例の被験者を対照群とした。チオグリコール酸アンモニウムの濃度は0.3%〜7.0%とした。オープンパッチテストで、3.0〜7.0%の濃度でのみ陽性反応がみられ、被験者1例は3.0%チオグリコール酸アンモニウムで、被験者1例は5.0%チオグリコール酸アンモニウムで、被験者2例は7.0%チオグリコール酸アンモニウムで反応がみられた。閉鎖パッチテストでは、大部分の陽性反応は3.0〜7.0%の濃度でテストした被験者にみられ、被験者5例が3.0%チオグリコール酸アンモニウムで、被験者5例が5.0%チオグリコール酸アンモニウムで、被験者8例が7.0%チオグリコール酸アンモニウムであった。対照群では、被験者4例が5.0%チオグリコール酸アンモニウムおよび被験者5例が7.0%チオグリコール酸アンモニウムに陽性反応を示した。 湿疹性皮膚炎の美容師4例(19〜20歳)で5.0%チオグリコール酸アンモニウムを含有するコールド・パーマネント液のパッチテスト(オープンパッチ)を行った。全例がこの液に陽性反応を示した。反応は96時間以上持続した。被験者4例を後に2.0%および5.0%チオグリコール酸アンモニウムを含有する液でパッチテストした。両液は、96時間以上持続する陽性反応を誘発した。健康被験者18例および皮膚炎のない美容師2例を5.0%チオグリコール酸アンモニウム液でパッチテスト(オープンパッチ)した結果は陰性であった。 美容師8例(平均年齢31歳)および顧客4例(平均年齢57歳)を2.5%チオグリコール酸アンモニウムのワセリン液でパッチテストした。すべて皮膚炎の患者であった。各被験者にフィンチャンバーを貼付して48時間後に除去した。除去後30分および7日に部位の判定を行った。被験者に両判定時ともに反応が観察された場合のみ陽性と考えた。1例の被験者(美容師)が被験物質に陽性反応を示した。 チオグリコール酸アンモニウムの感作性を患者85例について皮膚塗布試験で評価した。チオグリコール酸ヒドラジドで感作した患者68例を0.5%および1.0%チオグリコール酸アンモニウムで試験した。チオグリコール酸グリコールエステルに感作した患者17例を1.0%および2.0%チオグリコール酸アンモニウムで試験した。患者68例中24例で、0.5%および1.0%チオグリコール酸アンモニウムに対して陽性反応がみられた。患者17例中5例で1.0%および2.0%チオグリコール酸アンモニウムに対して陽性反応がみられた。 1.25%チオグリコール酸水溶液(アンモニアでpH 9.0〜9.3に調製)の感作性を被験者20例で評価した。綿製パッチを試験溶液0.5 mLに浸して、月曜、水曜および金曜に連続3週にわたり上腕部に(カバーレットで)貼付し、各パッチは24時間おいた。最終感作パッチの貼付後約10日に、元の部位および新たな部位(元の部位の隣接部)に惹起パッチを行った。24時間後に惹起パッチを除去し、48および96時間後に反応を判定した。いずれの被験者にも感作反応は認められなかった。 職業曝露 コールド・パーマネントおよび洗髪を1日5〜10名の顧客に約7ヵ月間施術した美容師(21歳)にアレルギー性接触皮膚炎が観察された。8ヵ月目の間、美容師にチオグリコール酸アンモニウムを含有する7種のコールド・ウェーブ液および0.3、0.5、0.7、1、3、5および7%チオグリコール酸アンモニウム水溶液のパッチテスト(オープンパッチ)を行った。7種すべてのウェーブ液で塗布後24、48および72時間に中等度に強い陽性反応が観察された。7および5%チオグリコール酸アンモニウム塗布後6時間および3%チオグリコール酸アンモニウム塗布後24時間に、紅斑および腫脹が観察された。陽性反応はすべて1週以上持続した。 これらの結果を確認するため、チオグリコール酸アンモニウムを含有する11種のコールド・パーマネント液についてパッチテスト(オープンパッチ)を実施した。さらに、美容師がそれまで使用していた2種のシャンプー、2種のリンスおよび4種のヘアートリートメントのオープンパッチテストも実施した。すべてのコールド・ウェーブ液で塗布後48および72時間に中等度に強い反応がみられた。シャンプー、リンスおよびヘアートリートメントで反応は観察されなかった。この美容師にみられたアレルギー反応はチオグリコール酸アンモニウムによるものと結論された。 手の皮膚炎の7例の美容師(16〜20歳)に5%チオグリコール酸アンモニウム水溶液のパッチテスト(オープンパッチ)を行った。塗布後48時間に3例の被験者でアレルギー反応が観察された。 チオグリコール酸アンモニウムおよびチオグリコール酸グリセリルの感作性を11例(第1群)および6例(第2群)の女子被験者(23〜70歳)で評価した。第1群の被験者11例(美容師8例、顧客3例)中6例および第2群の被験者6例(美容師2例、顧客4例)中4例はアトピーであった。第1群の被験者に以下のパッチテストを行った:1%チオグリコール酸グリセリルのワセリン液、2.5%チオグリコール酸アンモニウムのワセリン液およびチオグリコール酸グリセリルのパーマネント・ウェーブ製品で最近パーマをかけたヒト毛髪試料。ヒト毛髪試料は、いずれの試験群にも参加しなかった5名の美容院顧客から採取し、パーマ施術の直前および直後ならびに2週、6週および3ヵ月後に採取した。試験前1年以内に、5名の美容院顧客はヘアーダイ、染髪またはパーマネント・ウェーブを行わなかった。 被験物質は各被験者の上背部にフィンチャンバーを多孔性テープで固定して48時間貼付した。チャンバーの除去後30分および7日に部位を判定した。反応は、7日に観察された場合のみ陽性と判定した。第2群の被験者6例については、1%チオグリコール酸グリセリルのワセリン液、2.5%チオグリコール酸アンモニウムのワセリン液およびチオグリコール酸グリセリルのパーマネント・ウェーブ製品でパーマをかけたヒト毛髪試料(美容院顧客の試料でない)でパッチテストを行った。テスト前に、頭髪はパーマネント・ウェーブ、ヘアーダイその他のカラー処理を行わなかった。 第1群で、被験者11例が1%チオグリコール酸グリセリルのワセリン液および1例が2.5%チオグリコール酸アンモニウムのワセリン液に陽性反応を示した。また、第1群のパーマ毛髪試料に対する陽性反応の発現頻度は次のとおりであった:パーマ施術日に採取した試料(被験者2例)、2週後に採取した試料(被験者3例)および6週後に採取した試料(被験者3例)。 第2群では、被験者6例が1%チオグリコール酸グリセリルおよび1例が2.5%チオグリコール酸アンモニウムに陽性反応を示した。この群のパーマ(ヒト)毛髪試料に対する陽性反応の発現頻度は次のとおりであった:パーマ直後の毛髪試料(被験者3例)、パーマ後2週の毛髪試料(被験者3例)およびパーマ後3ヵ月の毛髪試料(被験者2例)。 両群を含めて、いずれの被験者もバージンヘア、ウェーブをかけていない美容室顧客の毛髪あるいはパーマを施していない毛髪には陽性反応を示さなかった。もう1群の被験者(患者33例)について、チオグリコール酸グリセリル・パーマネント・ウェーブ製品(上記と同一品)でパーマをかけた毛髪試料の皮膚刺激性を評価した。試験した毛髪試料は、パーマ後6週の被験者から採取した。試験したいずれの被験者にも皮膚刺激性または感作性の証拠はみられなかった。 最近の文献で、チオグリコール酸アンモニウムは美容師および顧客に感作性を起こすことはまれであり、チオグリコール酸グリセリルは一般的に感作性があるとされている。エポキシ樹脂およびアクリル化合物から作業者を保護する新しい軽量グローブを、チオグリコール酸グリセリルによる感作を保護するために使用する試験が実施されている。 その他 吸収、分布、代謝および排泄 35S-チオグリコール酸ナトリウムの吸収を雄ウサギ(2〜3 kg、系統の記載なし)で試験した。動物5匹を約24時間摂餌させた後、24時間断餌した。35S-チオグリコール酸の25.0%溶液(330 mg/kg)を刈毛した背部皮膚に塗擦した。1時間後、35S-チオグリコール酸投与量の5〜8%が尿中に排泄された。5時間後の排泄量は30%〜40%であった。チオグリコール酸ナトリウムは体内の他の起源のイオウの代謝を変化させることから、この単位時間当たりの排泄量の増加はチオグリコール酸の直接の経皮吸収によるものではないと思われた。 さらに3匹のウサギに(同様の方法で)多量(660 mg/kg)の試験溶液を投与しても、単位時間当たりのチオグリコール酸塩の吸収および排泄はそれ以上増加しなかった。660 mg/kg投与群動物は24時間以内に死亡したが(死因の記載なし)、330 mg/kg投与群では死亡動物はみられなかった。したがって、長時間にわたる総吸収量がおそらく投与量に関連したと考えられる。 雌サル1頭に35S-チオグリコール酸ナトリウム(3 mg/kg)を静脈内投与して放射能分布を測定した。投与後10時間まで尿を採取したが、10時間後に動物は死亡した。血液および尿試料中の35S含量を測定した。さらに、以下の各器官の2組織試料についても35S含量を分析した:ひらめ筋、腎臓、肺、肝臓、心臓、脾臓、膵臓および脳。腎臓、肺および脾臓に多量の放射能が認められた。 別の試験で、Holzmanラット(体重200〜250 g)およびニュージーランド成熟ウサギ(体重の記載なし)で35S-チオグリコール酸静脈内投与後の放射能分布が検討された。ラット1匹に被験物質50 mg/kgを静脈内投与して1時間後に屠殺した。小腸および腎臓で放射能が最も高く、肝臓および胃はこれより低く、脳、心臓、肺、脾臓、精巣、筋、皮膚および骨が最も低かった。最も多量の35S、すなわち総投与量の0.66%が糞中に検出された。この結果は、採取後にケージの尿残留物を洗った際に漏れた尿で糞が汚染されたためと考えられる。全血中の35S分布は、ラット6匹に被験物質100 mg/kgを静脈内投与し7時間後まで採血して評価した。投与後0.5〜7時間の残留35S血中濃度は6匹いずれの動物でも5.3%を超えなかった。さらに、ニュージーランドウサギを用いて、以下の血清蛋白分画:α1、α2、βおよびγ-グロブリンおよびアルブミンとの結合に着目して、血中の35Sチオグリコール酸分布を検討した。被験物質(70 mg/kg)は静脈内に投与した。大部分の放射能はアルブミンと結合した。この取り込み量は投与20分後で0.14%、3時間後には0.016%に低下した。アルブミン中に検出された少量の放射能は同位体変換によるものと考えられる。 35S-チオグリコール酸の代謝および排泄を雄Holzmanラット(体重=200〜250 g)およびニュージーランド成熟雄ウサギ(体重の記載なし)で評価した。被験物質(100 mg/kg)をラット12匹に静脈内投与およびラット10匹に腹腔内投与した。さらに、2匹のラットに75 mg/kgを腹腔内投与した。静脈内投与動物(ラット12匹)は1群とし、腹腔内投与動物(ラット12匹)は別の群とした。尿試料を投与後24時間採取して、投与量の35S排泄率を測定した。静脈内投与ラットの平均尿中硫酸塩量は82.3±1.6%で、腹腔内投与ラットでは90.6±1.8%であった。大部分の放射能は中性硫酸塩の形で排泄された。ウサギ2匹に被験物質100 mg/kgを腹腔内投与し、ウサギ1匹には200 mg/kgを投与した。投与後24時間尿試料を採取した。平均尿中イオウ量(ウサギ3匹)は投与量の88%であった。ラットの場合と同様に、大部分の放射能は中性硫酸塩の形で排泄された。さらに、チオグリコール酸(100〜150 mg/kg、非放射性)を1群7匹のウサギに腹腔内投与した。高濃度のジチオグリコール酸塩(平均濃度28%)が投与後24時間の尿中に検出された。チオグリコール酸塩はわずかな濃度しか検出されなかった。 チオグリコール酸ナトリウムの尿中排泄をウサギ(体重および系統の記載なし)を用いて評価した。動物4匹に放射性チオグリコール酸ナトリウムの5%溶液(用量はそれぞれ70、80、80および123 mg/kg)を静脈内投与した。動物2匹を対照群とした。24時間にわたって尿を採取した。各容器に流動ワセリン数滴を加えてスルフヒドリル化合物が空気酸化されるのを予防した。各尿試料中の有機硫酸塩、無機硫酸塩および中性イオウは投与放射能量に対する割合で表した。この結果、チオグリコール酸ナトリウムはほとんどが無機硫酸塩および中性イオウとして排泄されることが示された。また、12.5〜75.0 mg/kgの2.5%放射性チオグリコール酸ナトリウム溶液をラット(体重および系統の記載なし)に腹腔内投与してチオグリコール酸ナトリウムの尿中排泄を試験した。尿は24時間採取した。無機硫酸塩の排泄量は、投与放射能量の%で表すと、29%〜72%であった。 別の試験で、チオグリコール酸アンモニウム・ナトリウム混合物の尿中排泄をウサギ(体重2.3〜3.0 kg、系統の記載なし)で評価した。試験したローション(L)は次のとおりである:L-1(0.6Nチオグリコール酸アンモニウム、pH 9.3)、L-5(0.5%活性塩化ベンザルコニウム添加0.6Nチオグリコール酸アンモニウム、pH 9.3)、L-15(4.0%塩化ベンザルコニウム添加0.6Nチオグリコール酸アンモニウム、pH 9.3)、L-3(0.5%オレイン酸ナトリウム添加0.6Nチオグリコール酸アンモニウム、pH 9.3)、L-7(1.0%アルキルアリルポリエーテルスルホン酸ナトリウム塩添加0.6Nチオグリコール酸アンモニウム、pH 8.6)、L-14(4.0%アルキルアリルポリエーテルスルホン酸ナトリウム塩添加0.6Nチオグリコール酸アンモニウム)およびL-19(4.0%アルキルアリルポリエーテルスルホン酸ナトリウム塩添加0.6Nチオグリコール酸アンモニウム、pH 9.3)。各ローション(1.0 mL/kg)を動物の刈毛した右側部皮膚面(体表面積の15%)にシリンジで単回塗布した。すべてのローションは10〜20μCiの35Sを含有した。最大の尿中35S排泄率(22.10±0.97%、動物7匹)はL-15ローション投与後24時間に認められた。24時間後の35S排泄率が最も低かった(7.72±1.07%、動物5匹)のはL-3ローション投与後であった。L-15およびL-3投与後72時間の尿中35S排泄率はそれぞれ2.0±0.13%(4匹)および1.07±0.35%(5匹)であった。ローションを連日(1.0 mL/kg)4日間塗布すると、L-15投与後に最大の尿中35S排泄がみられた(4日終了時に約60%)。 少量のチオグリコール酸が、システイン−チオグリコール酸・ジスルフィド混合物として、ヒト尿中から高圧ろ紙電気泳動によって確認された。 チオグリコール酸ナトリウムが硫化水素として肺から排泄されるかどうかをラットで試験した(体重および系統の記載なし)。動物に150 mg/kgのチオグリコール酸ナトリウムを腹腔内投与した。動物の呼気中の硫化水素を10時間にわたり分析した。試験期間中のいずれの時点でも、呼気中に硫化水素は検出されなかった。 ■引用文献 1) Anonymous (1991) Final report on the safety assessment of ammonium and glyceryl thioglycolates and thioglycolic acid. J Am Coll Toxicol 10(1), 135-192. (特に指定しない場合の引用文献はこれである) 2) Rotenberg YS et al. (1969) Gig Tr Prof Zabol 13(1), 48-50 [in Russian]. 3) Tyl RW et al. (2003)Developmental toxicity evaluation of sodium thioglycolate administered topically to Sprague-Dawler (CD) rats and New Zealand white rabbits. Birth Defects Res (Part B) 68(2), 144-161. |メニューへ| |
Japan Pharmaceutical Excipients Council |