日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 トリカプリリン
英文名 Tricaprilin(JAN)、Tricaprylin

CAS 538-23-8 (link to ChemIDplus), (link to JJAN DB), (link to JANe DB)
別名 トリカプリル酸グリセリン、三カプリル酸グリセリン、Caprylic Acid, 1,2,3-Propanetriyl Ester、Glyceryl Tricaprylate
収載公定書  局外規(2002) 外原規(2006)
用途 溶剤,賦形剤 g


単回投与毒性 (link to ChemIDplus),
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
マウス 経口 34.2 g/kg (雄)、29.6 g/kg (雌) Ohta et al., 19701)
ラット 経口 34.2 g/kg (雄)、33.3 g/kg (雌) Ohta et al., 19701)



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
ラット
4〜5週齢のWistar系雌雄ラットに、各群10匹を用いて、Tricaprilin(TC)を10mL/kg、5mL/kg、2mL/kgの用量で4週間連続経口投与を行った。途中死亡例は10mL/kg群で雌雄各2匹、5mL/kg群で雄2匹、雌1匹がみられた。血液検査では、10mL/kg群雌で、白血球が増加し、2mL/kg群雄で、赤血球の減少がみられた。血液生化学検査では、10mL/kg群雌で尿素窒素、GPTの減少、5mL/kg群雌で尿素窒素の減少、2mL/kg群雄でグルコースの増加およびGOTの減少がみられた。臓器重量は10mL/kg群雄および5mL/kg群雄で心臓、脾臓、腎臓、精巣が、2mL/kg群雄では心臓、精巣が対照群に比べ減少した。剖検所見では、死亡例において、やや著明な肺炎がみられた。
病理所見では、肝細胞の核濃縮(5mL/kg群雄で1例)、腎臓の軽度小円形細胞浸潤(10mL/kg群雄で1例、対照群雌で1例)、心臓間質での細胞浸潤(5mL/kg群雌雄各1例、対照群雄1例)、肺胞性貪食細胞の増加、肺胞壁のうっ血、脾臓の軽度うっ血、髄外造血(各群多数例)が認められた。その他一般状態、発育状況、尿検査において対照群との間に差は認められなかった。1) (Ohta et al., 1970)

Wistar系ラット、4〜5週齢を用い、Tricaprilin(TC)を10mL/kg、2mL/kg、対照群として蒸留水10mL/kg、大豆油10mL/kgを、6ヶ月間連続経口投与した。
一般状態、発育状態に変化は認められなかった。実験途中の死亡例は、2mL/kg群で1例、10mL/kg群で3例、大豆油群4例であった。尿、血液、血清検査で、蒸留水群と比較して、蛋白量の増加(大豆油群)、GPT減少(大豆油群)、GOT減少(10mL/kg群)がみられ、大豆油群と比較して、尿素窒素の減少(2mL/kg群)、尿素窒素蛋白の減少(10mL/kg群)がみられた。臓器重量は、蒸留水群と比較して、心臓(大豆油群)、肝臓および腎臓(2mL/kg群)、副腎(10mL/kg群)が増加した。大豆油群とTC群に差は見られなかった。剖検・病理検査では、糸球体の膨化、糸球体基底膜の肥厚、心筋の硝子様変性、胸部大動脈の外膜における炎症細胞浸潤が、TC群、大豆油群ともに認められた。1) (Ohta et al., 1970)


遺伝毒性 (link to GENE-TOX)
Salmonella typhimurium のTA1535ではS9+で陽性。TA97、TA98、TA100はS9の有無に関わらず陰性。2) (NTP, 1994)


がん原性
ラット
雄のF344/Nラットを用いて、Tricaprilin(TC)2.5、5、10mL/kgを週5日、2年間連続経口投与した。2年間生存率は対照群に比べ低く(対照群、31/50; 2.5 mL/kg、30/50; 5mL/kg、31/50; 10mL/kg、23/53)、瀕死状態や死亡はTCの毒性によるものだと考えられる。病理検査では、膵臓の外分泌腺過形成や腺腫(対照群、2.5 mL/群、5 mL/kg群、10mL/kg群順に、過形成 : 8/49、9/49、18/49、28/50; 腺腫 : 2/49、6/49、13/49、18/50)が用量依存的にみられた。また、前胃の増殖病変発現率(基底細胞過形成 : 4/50、7/50、12/49、21/52; 扁平上皮乳頭腫 : 0/50、0/50、3/50、10/53)も用量依存的にみられた。神経障害は、10mL/kg群で減少し、重症度も用量依存的に軽減した(頻度[重症度]: 46/50[2.0]、42/50[1.5]、45/50[1.7]、27/49[0.9])。単核細胞白血病の出現頻度は、10mL/kg群で減少した(23/50、28/50、22/50、9/53)。2) (NTP, 1994)


生殖発生毒性 (link to DART)
マウス
生後4〜8週齢のICR-JCL系マウスに妊娠7〜12日の6日間連続経口投与を実施。投与量は、Tricaprilin(TC)を10mL/kg、2mL/kg、対照群として生理食塩水10mL/kg、大豆油10mL/kgとした。妊娠18日目に、放血殺後、子宮および子宮内胎児を観察し、総着床数、生胎児数、吸収胚数、死胎児数を調べた。生胎児は、性別、外形異常の有無、体重測定後、骨格透明標本を作製し、骨格異常の有無を観察した。

母体体重増加、一般症状、総着床数、胎児重量は、対照群と比べ、著明な差はみられなかった。外形異常は、口蓋裂(2mL/kg群1例、10mL/kg群2例、生食群1例)、内反足(2mL/kg群3例、10mL/kg群4例、生食群1例、大豆油群4例)が認められた。また、骨格異常は、頚椎癒合(10mL/kg群1例)、肋骨癒合(2mL/kg群2例)が認められた。1) (Ohta et al., 1970)

ウサギ
体重2.5〜3.8kgの日本白色ウサギを使用した。投与量はTricaprilin(TC)を3mL/kgとし、対照群として生理食塩水3mL/kg、大豆油3mL/kgとした。妊娠母体への投与は、妊娠7〜16日の10日間連続経口投与を行った。妊娠29日目に、放血殺後、総着床数、生胎児数、吸収胚数、死胎児数を調べた。生胎児は、性別、外形異常の有無、体重測定後、骨格透明標本を作製し、骨格異常の有無を観察した。
母体体重増加、一般症状、総着床数、生胎児数、胎児重量は対照群と比べ、著明な差はみられなかった。外形異常および骨格異常は、認められなかった。1) (Ohta et al., 1970)


局所刺激性
その他の毒性

ヒトにおける知見  (link to HSDB)


引用文献
1) Ohta K; Matsuoka Y; Ichikawa Y; Yamamoto K.. Toxicity, Teratogenicity and Pharma- cology of Tricaprylin. Oyo Yakuri(Pharmacometrics)1970 Apr; 4: 871-82
2) National Toxicology Program . NTP Comparative Toxicology Studies of Corn Oil, Safflower Oil, and Tricaprylin (CAS Nos. 8001-30-7, 8001-23-8, and 538-23-8) in Male F344/N Rats as Vehicles for Gavage. Tatl. Toxicol. Program Tech. Rep. Ser., 1994 Apr; 4216: 1-314


  

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