日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 薬用炭
英文名 Medicinal Carbon

CAS 16291-96-6 (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 

収載公定書  局方(JP17), 食添(活性炭),JSFA-IX),EP(5)  USP/NF(28/23)    
用途 安定(化)剤,吸着剤,光沢化剤,コーティング剤,着色剤,賦形剤

JECFAの評価
毒性データがないので、一日摂取量が確立していない。 濾過剤、除去剤としてGMPに従って使用されるとき、食品中に残渣は存在しない。


単回投与毒性
該当文献なし


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
CFW(白)あるいはC3H(褐色)マウス10-30匹(大部分は雄、一部は雌)に活性炭0-10%を含有する水あるいは油で懸濁した食餌を12-18ヶ月与え、小麦粉15%を含む食餌を与えた対照群と比較したが、両群の間に著しい差は見られなかった。1) (FAO Ntr. Mt. 1970)

水に懸濁あるいはベンゼンに溶解した活性炭のベンゼン抽出物をマウスに週3回、12-17ヶ月間塗布した。活性炭のタイプにより変化があったが、局所の腫瘍形成が見られた。一方、活性炭を食餌として投与した同様の実験では、明白な病理組織学的変化は見られなかった。2), 3) (Nau et al., 1963; Nau et al., 1958)

綿実油に懸濁した活性炭0.27gをC3Hマウスに皮下注した。16ヵ月後に注射に関連し た何らの顕著なあるいは病理組織的変化は見られなかった。活性炭抽出に使用された綿実油を30日間あるいは90日間、皮下注したが、20ヵ月後に何らの顕著なあるいは病理組織的変化は見られなかった。2) (Nau et al., 1963)

マウス、ラット、モルモット
モルモット60匹、ラット30匹、マウス131匹に活性炭の塵を1日7時間(週に5日間)、 1年間吸入させた。対照には、モルモット22匹、ラット15匹、マウス20匹を置いた。
死亡率には有意な差は見られなかった。剖検により、肺には複数の塵の沈着が見られた。病理学的には、間質性肺炎と同様に局部的な拡張不全と近接した肺胞の過度の膨張を伴う肺胞内への塵の沈着を示した。マウスでは変化が最も少なかったが、ラットでは脂肪肺炎の部位が見られた。これらの所見は、緩慢な塵による変化と一致していた。4)(Gross et al., 1967)

ニワトリ
生後1日のヒナ20匹に0-2%の活性炭を含む食餌を34日間投与した。必須栄養素ビタミンA及びKの活性炭の生理的吸着による以外に有害反応は見られなかった。これはこれらの栄養素の投与により回復できる。5)(Almquist et al., 1940)

コメント(FAO Nutrition Meetings Report Series No. 48A WHO/Food ADD/70.39) 有用な経口での研究はマウスしかないが、活性炭は何ら有害な生物反応をを示す証拠は 得られなかった。


遺伝毒性
がん原性
生殖発生毒性 (link to DART)
局所刺激性
その他の毒性


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
健康志願者を用いて経口超活性炭(SAC)の副作用発現頻度を調査した。健康成人志願者にアセトアミノフェンを初めの13名には2000mgを、残りの35名には3,000mを単回投与した。被験者は、アセトアミノフェン服用3時間後にSACを服用しない対照群とSAC 75g懸濁液を服用する群に無作為に割り付けられ、両群の副作用について比較した。
48名の平均年齢は、27.4歳(SD 6.5歳)で、SAC群は24名であった。

副作用発現率は下記のようであった(*:P<0.05)。黒便*(SAC:22/24、対照:0)、便秘あるいは腹部膨満感*(SAC:12/24、対照:0)、嘔気*(SAC:5/24、対照:0)、嘔吐(SAC:2/24、対照:0)、下痢(SAC:2/24、対照:0)、肛門刺激(SAC:2/24、対照:0)、眠気・疲労(SAC:2/24、対照:3/24)、めまい・ふらつき(SAC:0、対照:1/24)、頭痛(SAC:4/24、対照:0)。
各群24名中SAC群の7名(黒便以外に)、対照群の20名は、全く副作用を経験しなかった。SAC群の2名は活性炭の服用を完了できなかった。残りの22名は、SACを平均10.9分(SD 11.8分、1-50分)で服用した。13名が7分未満で、6名が19分以上かけて服用した。

体重の重い12名(71kg超)は体重の軽い12名よりも服用時間が短かった(18.7分対7.8分、P=0.04)。SACを全量服用できなかった2名(いずれも軽体重)を含めても、彼らを除いた場合と有意差はなかった。
健康志願者での試験において、SAC服用は、副作用の発現頻度を有意に高め、薬物過量投与患者が妥当な時間内に快く活性炭を服用することを妨げる可能性がある。5) (Sato et al., 2002)

活性炭の複数回投与に関連した併発症について検討した。研究対象は、北米の4都市の8つの第三次医療施設から抽出された。退院時に中毒と診断された(第9回修正国際疾病分類、分類項960-989.9)の1993年3月から1998年3月の全入院患者の医療記録から、活性炭を複数回投与(12時間以内に2回以上)された患者を選択し、検討した。

これらの患者について、活性炭の複数回投与に関連した嚥下性肺炎、胃腸管閉塞、高ナトリウム血症、高マグネシウム血症、角膜剥離や他の併発症の発現に関する患者人口動態や臨床情報に基づいて検討した。
6258件の医療記録中活性炭を複数回投与された878例の患者を同定した。臨床的に明白な嚥下性肺炎は5例(0.6%、95%信頼区間(CI) 0.1-1.1%)、胃腸管閉塞は0例(95%CI 0.3%)であった。嚥下性肺炎による死亡や後遺症を来たした患者は皆無であった。

高ナトリウム血症(血清ナトリウムが145mEq/L [145mmol/L]以上)は53例(6.0%、95%CI 4.4-7.6%)で、そのうち5例(0.6% 95%CI 0.1-1.1%)は血清ナトリウムが155mEq/L(155mmol/L)以上であった。高マグネシウム血症(血清マグネシウムが2.5mg/dL[1.0nmol/L]以上)は27例(3.1% 95%CI 2.0%-4.2%)で、そのうち3例(0.3% 95%CI 0.1-1.0%)は血清マグネシウムが3.75mg/dL(1.5nmol/L)以上であった。角膜剥離は1例(0.1% 95%CI 0%−0.6%)であった。他の併発症は同定されなかった。活性炭の複数回投与に関連した臨床的に明らかな併発症はまれに起こる。7) (Dorrington et al., 2003)


引用文献
1)FAO Nutrition Meetings Report Series No. 48A WHO/FOOD ADD/70.39
2) Nau C. A., et al. Unpublished Report from Atlas Chemical Company (1963)
3) Nau C. A., Neal J. Stembridge V. A.M.A. Arch. Ind. Hlth.; 1958: 18, 511
4) Gross P. Nau C. A. V. A.M.A. Arch. Eny. Hlth.; 1967: 14, 450
5) Almquist HJ., Zander D., Proc. Soc. Exp. Biol. (N.Y.); 1940: 45, 303
6) Sato RL., Wong JJ, Sumida SM., Yamamoto LG, Adverse effects of superactivated charcoal administered to healthy volunteers. Hawaii Med. J.; 2002: 61, 251-3
7) Dorrington CL,. Johnson DW, Brant R; Multiple Dose Activated Charcoal Complication Study Group. Ann. Emerg. Med.; 2003: 41(3), 370-7






   



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