日局収載の医薬品添加物に対する残留溶媒の調査結果について

レギュラトリー委員会
委員長 小笠原由明

医薬品の残留溶媒の管理に関して、平成23年3月30日付けの厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知(薬食審査発0330第7号)において、「これまで、日本薬局方に新たに収載される医薬品(成分)を対象として残留溶媒の規定を適用してきたところであるが、今後、既収載の品目についてもその対象とするよう第十七改正に向けて検討を行うこととしているので、製造販売業者等においては、ガイドラインの遵守につきなお一層の計画的な取組みをお願いしたい。」と示されました。

日本医薬品添加剤協会は、この課長通知への取り組みを中心的に推進している日薬連薬局方委員会より、医薬品添加物に関する部分に関して協力要請を受けました。当協会ではレギュラトリー委員会がその役割を担うこととし、取り組むべき内容について検討致しました。

平成10年3月30日付けの医薬審第307号厚生省医薬安全局審査管理課長通知「医薬品の残留溶媒ガイドライン」によれば、医薬品添加剤の供給業者の報告すべき残留溶媒のレベルについては以下のように記載されています。
3. 一般原則
(5) 報告すべき残留溶媒のレベル
医薬品の製造業者は、本ガイドラインの要請に応えるために、医薬品添加物中又は原薬中の溶媒の含量に関する情報を必要としている。下記の項目は、医薬品添加物又は原薬の供給業者が医薬品の製造業者に提供すべき情報の例として記載したものである。医薬品添加物又は原薬の供給業者は、下記の記載の中から該当するものを選択すればよい。
 ア クラス3の溶媒のみが存在すると考えられる場合
乾燥減量が0.5%未満であること 
 イ クラス2の溶媒(X、Yなど)のみが存在すると考えられる場合
すべての溶媒がオプション1の限度値未満であること(原薬又は医薬品添加物の供給業者は、X、Yなどで表わされるこれらクラス2の溶媒の名称を示す必要がある。)
 ウ クラス2の溶媒(X、Yなど)及びクラス3の溶媒が存在すると考えられる場合
クラス2の溶媒がオプション1の限度値未満であり、かつクラス3の溶媒が0.5%未満であること
クラス1の溶媒が存在すると考えられる場合には、それらの溶媒を同定し、定量する必要がある。
「存在すると考えられる」という表現の対象は、製造の最終工程で使用された溶媒及び最終工程よりも前の工程で使用されたが、バリデートされた工程によってもいつも除くことができるとは限らない溶媒である。
クラス2又はクラス3の溶媒の残留量が、それぞれのオプション1の限度値又は0.5%を超えている場合には、それらの溶媒は同定し、定量する必要がある。

上記「医薬品の残留溶媒ガイドライン」の医薬品添加剤供給業者の報告すべき残留溶媒レベルに関する事項と今後、上記内容について製薬各社からの医薬品添加剤供給業者に対する多くの問い合わせがされる可能性が考えられることから、協会加盟各社の負担を出来るだけ少なくし、また、医薬品添加物の残留溶媒の規制の在り方を検討するための基礎的な資料とするため、関連する情報を当協会で集めることとしました。

レギュラトリー委員会及び日薬連薬局方委員会と検討した結果、第1段階として、日局収載の添加剤について、日局表示のあるものを対象とし、協会会員各社にアンケート調査を実施しました。この調査結果を以下に報告致します。
報告内容は基本的な事項に限られています。なお、製薬各社において詳細を確認する必要がある場合は、医薬品添加剤供給業者各社の固有情報であると考えられますので個別に対応していただきますようお願いいたします。

今回のアンケート調査の結果の概要は以下の通りです。


結果概要

回答のあった日局収載医薬品添加剤の品目数:52品目(複数の供給業者がある場合、1品目としてカウント)
同上延べ品目数:71品目(複数の供給業者がある場合、グレード等があっても1社1品目としてカウント)
回答のあった日局収載医薬品添加剤52品目の内、有機溶媒の存在は考えられない品目数:40品目
回答のあった日局収載医薬品添加剤52品目の内、有機溶媒の存在が考えられる品目数:12品目

今回のアンケート調査の質問票の3.において「添加剤に有機溶媒が存在すると考えられますか?」という質問がありますが、「存在する、あるいは存在しない」に関する定義に関してははっきりしていない問題があります。

このことに関連し、IPEC-Americasと他の団体が合同でFDAと2008年11月7日にディスカッションした記録があり、そこで、クラス2及びクラス3の溶媒に関しては、バリデートされたプロセスにより、限度値の10%未満で存在する場合、「存在しないと考えられる」と見なすことができるか?の質問に対して、FDAは『OGD would consider listed solvents which are removed or present at less than 10% of the listed limit to be “NOT likely to be present”. :参考訳:FDAジェネリック医薬品部としては、リストされた溶媒で、除かれたか、あるいはリストされた限度値の10%未満で存在する場合、「存在しないと考えられる」と考えることになるでしょう』と回答しています。

一方、欧州医薬品庁から、2005年2月10日に残留溶媒のガイドラインに対する付属資料が発行されていますが、そこでは、次のような記載があります。ここでは、「合成の最終段階の前に使用されるクラス2溶媒では、濃度限度値の10%以下であることが証明された場合、定常的な管理が免除されることがある」ことが言及されています。

SPECIFICATIONS FOR CLASS 2 SOLVENTS
       中略
B Class 2 solvents used prior to the last step of the synthesis
Class 2 solvents used prior to the last step in the synthesis may be exempted from routine control in the final active substance and in a suitable intermediate only if it has been demonstrated, on a suitable intermediate or on the final active substance, that the content of Class 2 solvents is not more than 10% of the acceptable concentration limit (e.g., acetonitrile 41 ppm) stated in the relevant aforementioned ICH/VICH Guideline on Impurities: Residual Solvents.  後略

参考訳:
合成の最終工程よりも前の工程で使用されるクラス2溶媒は、適切な中間体又は最終の原薬について、クラス2の溶媒が関連する前記のICH/VICH不純物のガイドライン:残留溶媒に述べられた濃度限度値の10%以下であることが証明された場合にのみ(例えばアセトニトリルは41ppm)、適切な中間体又は最終の原薬での定常的な管理が免除されることがある。

これらの資料は原文及び仮訳を添付しますが、今回のアンケート調査では、このような限度の10%に関するルールを取り入れた回答をされている場合があります。

・アンケート調査結果一覧表
・参考資料1,2
・参考資料 部分仮訳1,2
・医薬品添加剤製品中の残留溶媒のアンケート調査に協力いただいた会社名

その他の資料