日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 塩化亜鉛
英文名 Zinc Chloride

CAS 7646-85-7  (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)

別名 
収載公定書  局方(JP17) 、外原規(2006)、 USP/NF(28/23) EP(5)
用途 安定(化)剤、充填剤 、着色剤、賦形剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
塩化亜鉛単独としての評価はない。元素としての亜鉛の栄養学的必要量と毒性量の間には大きな開きがある。硫酸亜鉛を1日量 600mg(亜鉛として200mgに相当)までを1日2,3回に分割して数ヶ月間投与した臨床研究の結果に基づいて、亜鉛としてのヒトでの最大摂取耐用量を暫定値として0.3-1.0mg/kgと設定している。1) (WHO Food Additives Series 17, 第26回会議、1982年)

以下の項目については、酢酸亜鉛及び硫酸亜鉛の項も参照されたい。なお、WHOの第26回会議の記録には、その他の亜鉛塩(医薬品添加物には指定されていない)についての記載もあるので併せて参照されたい。


単回投与毒性  (link to ChemIDplus)
化合物 動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
硫酸亜鉛 マウス 経口 611 Caujolle et al., 19641)
硫酸亜鉛 ラット 経口 1374 Caujolle et al., 19641)
硫酸亜鉛7水塩 ラット 経口 750 Hahn & Schunk, 19551)
酢酸亜鉛7水塩 ラット 経口 750 Hahn & Schunk, 19551)
酢酸亜鉛7水塩 ラット 経口 2460 Smith et al., 19691)
塩化亜鉛 ラット 経口 750 Hahn & Schunk, 19551)
塩化亜鉛 ウサギ 経口 750 Hahn & Schunk, 19551)
硫酸亜鉛 ラット 経口 920 Litton Bionetics, 19731)



反復投与毒性 (linke to TOXLINE)
ラット
1群25匹のWistar系ラットに、食餌に混入した塩化亜鉛の0、60、120又は600mg/dayを投与した。120mg/day以下の群では15ヶ月間の投与で何ら有害作用は見られなかった。最高用量の600mg/day群では投与開始2週間間後から著しい体重低下が見られ、死亡例も出現するようになり、その後10日間で13匹が死亡した。6ヶ月間投与での生存例は6匹であり、消化管の糜爛及び腎の鬱血が認められた。1) (Wilkins, 1948)

ウサギ
New Zealand白色ウサギの同腹仔を用いて、生後11日から17日まで塩化亜鉛16mg/dayを皮下投与した。対照群には高張食塩水を同様に処理した。塩化亜鉛投与群では自発運動の低下、軽度の運動失調、後肢の虚弱化、成功反射の低下が見られた。これらの所見は脳の白質・灰白質における神経膠症(gliosis)、星状細胞核の対合(pairing of astrocytic nuclei)と関連したものであるが、脳重量、脂質の低下又は脳内亜鉛量とは関連しなかった。神経細胞の減少、血管系の障害、脳又は脊髄の変性等の所見はない。中枢神経系への影響は、腎尿細管の拡張、尿細管上皮細胞内の顆粒形成及び腎亜鉛量と一致する所見である。1) (Prensky and Hillman, 1977)


遺伝毒性 (link to GENE-TOX)
塩化亜鉛は、枯草菌H17(Rec+、arg=、try=)及びM45(Rec-、arg-、try-)を用いた組換え修復能欠損アッセイ(recombination-repair-deficient assay)で変異原性、DNA傷害性を示さなかった。1) (Kanematsu et al., 1980)


がん原性 (link to CCRIS)
1群49匹のSyrianハムスターを用い、4%の塩化亜鉛溶液の0.05mLを直接精巣(睾丸)に注射した。投与は毎日1回、6週間続けた。17又は18週に動物を屠殺し、精巣及び下垂体を摘出して組織学的な検査を行った。殆どの精巣において凝固壊死像が見られ、周囲には色素沈着、泡沫化したマクロファージが認められた。2匹については10週間で屠殺した。その内、1個の精巣では壊死部分に隣接して胎生期癌(embryonal carcinoma)の小さな病巣が認められた。しかし、転移癌はなく、また他のいずれのハムスターにおいても精巣に新生物は見られなかった。1) (Guthrie and Guthrie, 1974)


生殖発生毒性 (link to DART)
幼若ラットに、塩化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛の0、0.25又は0.5%含有食を与え続けた後、交配して生まれた新生仔に対して離乳後更に同一の飼料で飼育した。毒性徴候は見られず、ラットはいずれも正常な発育を示し、外観、臓器重量、繁殖性に影響は認められなかった。1) (Heller and Burke, 1927)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)



引用文献
1) Zinc (WHO Food Additives Series 17), The 26th meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA), World Health Organization, Geneva 1982  (link to WHO DB)
 

Abbreviation

ChemIDplus; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature
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